食塩非感受性の人が血圧を下げるには「けり出し歩き」

食塩非感受性の人が血圧を下げるには週3回の有酸素運動が有効で、 一番のおススメは「けり出し歩き」です。 けり出し歩きを行うと、足のポンプ機能が活発になって 全身の血流が一挙に促されます。 このように全身の血流がよくなると、血管にかかる圧力が軽減し、 高い血圧が次第に下がっていくのです。 そのうえ、けり出し歩きを行うと、「レニン」などの血圧を上げるホルモンの分泌が減るとともに、 ドーパミンなどの血圧を下げるホルモンが増えることも確認されています。



■食塩非感受性

安易な降圧薬の使用は死亡率を高める

近年、食塩を多く摂っても血圧が上がりにくい「食塩非感受性」の人のいることがわかってきました (「食塩感受性と食塩非感受性」)。 血圧の高い人で、減塩を懸命に行っても高血圧が改善しない人は、食塩非感受性の疑いが大です。 食塩非感受性の人の場合、塩分の摂りすぎ以外に高血圧の原因があると考えられます。 ですから、減塩食による高血圧の改善はあまり期待できず、減塩以外の方法で血圧を下げる必要があります。 また、食塩非感受性の人が安易に降圧薬を使うのはお奨めできません。 降圧薬を使って高血圧の治療を行うと、血圧は下がるものの、食事療法や運動療法のみで血圧を下げた場合と比べて死亡率が高まる、という報告もあるからです。 そのため、降圧薬は、運動療法や食事療法などで生活習慣の改善を行い、十分に血圧が下がらなかった場合に、 専門医の指示のもと用いることが重要です。


■有酸素運動が効果的

こうしたことから、食塩非感受性の人は、運動で高い血圧を下げるのが最も効果的です。 血圧を下げる効果の大きいのは、エアロビクスやジョギング、ウォーキングなどの有酸素運動で、 これらの中でも、手軽に行えると人気を集めているのが 「ウォーキング」です。 ウォーキングには、毛細血管の血流をよくしたり、自律神経のバランスをよくしたりして血圧を下げる効果があります。 また、高血圧の原因にもなる肥満を防いだり、改善したりする効果も得られます。 実際に、厚生労働省の調査では、1日の歩数が多い人ほど血圧が低く保たれ、 1日に1万歩以上歩く人の最大血圧は、平均130ミリの正常範囲であることがわかっています。 しかし、これまでの運動習慣のない人が、いきなり1日1万歩以上のウォーキングを行うのは大変です。 また、足の裏を引きずったり、だらだらと歩いたりするのでは、血圧を下げる効果が余りありません。 そこで、おススメしたいのが「けり出し歩き」です。



■けり出し歩きは運動量が格段に大きい

「けり出し歩き」は、足をかかとから地面に着け、つま先で地面を後ろにけり出す歩き方です。 このように歩くと歩幅が広がって歩くスピードが増し、しかも、太ももやふくらはぎの筋肉が効率よく使われるので、 運動量が格段にアップするのです。特にふくらはぎは「第二の心臓」といわれるように、 全身の血流を促すポンプの役割を果たしています。そのため、けり出し歩きを行うと、足のポンプ機能が活発になって 全身の血流が一挙に促されます。このように全身の血流がよくなると、血管にかかる圧力が軽減し、 高い血圧が次第に下がっていくのです。


●血圧を上げるホルモンの分泌も減少する

そのうえ、けり出し歩きを行うと、「レニン」などの血圧を上げるホルモンの分泌が減るとともに、 ドーパミンなどの血圧を下げるホルモンが増えることも確認されています。 けり出し歩きを行うときのコツは、前方をしっかりと見て歩くことです。 そうすれば、背筋が伸びて歩くときの姿勢がよくなります。 また、けり出し歩きを行うときは、腕を前後に大きく振りましょう。 けり出し歩きは、最初は1日10分ほど行ってください。慣れてきたら、20~30分を目標に行うといいでしょう。 けり出し歩きの効果は2、3日続くため、週に3回ほど行うのが目安です。