内臓脂肪の増加

内臓脂肪の増加はインスリンの効き目を悪くする元凶で、膵臓の疲労も蓄積してしまう。


■糖尿病のタイプ

血糖値とインスリンは歩調を合わせるのが理想

糖尿病のタイプはインスリンの分泌状態によって、大きく2つに分けられます。 免疫異常などにより、膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンが分泌されなくなるのがⅠ型糖尿病といいます。 日本人には少なく、患者全体の3%以下とされ、治療法としては注射によって外部からインスリンを補うほかありません。 そのほか、妊婦が発症する妊娠糖尿病、別の病気や薬剤の服用が招く二次性糖尿病などもありますが、 日本人の患者の85%を占めるのがⅡ型糖尿病です。 遺伝的な素因に加えて、食べ過ぎ、肥満、運動不足が積み重なって、インスリンが不足したり、その効き目が低下することがその原因。 いわゆる、一般的なイメージである糖尿病です。

では、実際に健康な人と糖尿病患者では、血糖値の上昇とインスリン分泌にどのような問題が起きているのでしょうか。 健康な人の場合、食後血糖値とインスリン量の変化の曲線は、きれいに揃っています。 無理のないインスリン分泌によって血糖値が下げられており、ピークでも140未満。 理想的な曲線であり、この形が崩れた状態が糖尿病というわけです。


■インスリンが多く分泌されても高血糖が続く

具体的に糖尿病患者では、この曲線がどう崩れるのかというと、まず典型的な例は、「インスリンの分泌量が足りない、 または分泌のタイミングが遅れてしまう」というもの。 原因としては、食べ過ぎによる極端な高血糖、または早食いによる食後血糖に急上昇により、インスリンの分泌力に 衰えが出ていることが考えられます。 重労働を強いられてきた膵臓が疲れ果てて、血糖値の上昇に合わせたインスリンの分泌ができなくなっているわけです。 もう一つみられるのが、「インスリンは多く分泌されているが、その働きが悪くなっている」というパターンです。 インスリンが血糖を筋肉や脂肪細胞に届けるときには、細胞のインスリン受容体という、いわば「血糖値の受け取り口」 がしっかり働いていることが重要です。しかし、インスリンと細受容体の結びつきが妨害されると、 血糖は細胞に取り込まれていきません。インスリンの分泌量は十分でも、その効き目が悪くなり、高血糖状態が続くわけです。 インスリンがが効きにくくなっているこうした状態を「インスリン抵抗性が増している」といいます。

インスリン抵抗性を増す要因として、昨今問題視されているのが「内臓脂肪」です。 肥大化した内臓脂肪からは、インスリン受容体の働きを悪くする物質が分泌されるのです。 そこで、血糖がなかなか下がらないと感知した膵臓は、インスリンをますます大量に分泌するように、 この重労働で膵臓の疲労が増大していくと、やがて力尽きてインスリンの分泌力が決定的に衰えてしまいます。 この悪循環を断ち切って、糖尿病を改善に向かわせるには、インスリンの自立分泌を活性化させること。 さらにその効き目を高めていくことが不可欠です。