糖尿病予備軍の段階から進む「動脈硬化」
糖尿病にはさまざまな合併症がありますが、 「動脈硬化」は、「糖尿病予備軍」の段階から進んでいることがわかっています。 内臓脂肪肥満を併せ持つと、動脈硬化の危険性はさらに高くなります。 動脈硬化を防ぐには、糖尿病予備軍の段階から肥満予防などの対策が必要です。
■糖尿病予備軍の段階から動脈硬化は進んでいる
糖尿病で慢性的に血糖値が高い状態が続くと、血管の壁が障害され、さまざまな合併症を引き起こします。 糖尿病の合併症には、太い血管に起こるものと、細い血管に起こるものがあります。 太い血管に起こるのが、血管内が狭くなったり血管がもろくなったりする「動脈硬化」で、 やがて心臓や脳の血管が詰まって血流が途絶える「心筋梗塞」や「脳梗塞」を引き起こします。 細い血管が障害されると、抹消の神経が障害される「神経障害」、網膜の血管がもろくなって出血などを起こす 「網膜症」、腎臓の働きが低下する「腎症」などを引き起こします。 血糖をコントロールせず、こうした合併症を放っておくと、脚の切断にいたることのある「壊疽」や、「失明」、 透析療法が必要になる「腎不全」など、重大な障害を招くおそれがあります。
多くの場合、神経障害や網膜症、腎症など、細い血管の合併症は、糖尿病を発病してから徐々に進行します。 しかし、最近では、神経障害の中でも「発汗異常」などの自律神経の障害は、糖尿病になる前の「糖尿病予備軍」 の時期から現れることがわかってきました。 一方、太い血管に起こる動脈硬化は、糖尿病予備軍の時期から進みます。 実際に、動脈硬化が原因で起こる脳や心臓の病気(心血管病)の発症率を、血糖値が正常な人と糖尿病のある人で 比較したところ、糖尿病のある人の発症率は正常な人の約3倍でした。 さらに、食後の血糖値が高い糖尿病予備軍の人の場合でも、正常の人の2倍程度高くなることがわかりました。
【関連項目】:『糖尿病の合併症』