食品名 | たんぱく質(g/100g) | 可食部(100gあたり) | たんぱく質(1gあたり) |
ごま | 19.8 | 2,700 | 138 |
カシューナッツ | 19.6 | 2,300 | 117 |
アーモンド | 18.6 | 2,100 | 113 |
くるまえび・生 | 20.5 | 1,800 | 93 |
凍り豆腐 | 50.2 | 4,200 | 84 |
精白米 | 6.8 | 550 | 81 |
大豆(国産) | 35.3 | 2,800 | 79 |
鶏もも(皮なし) | 18.0 | 1,200 | 67 |
豚ロース(脂身なし) | 19.7 | 1,300 | 66 |
牛サーロイン(脂身なし) | 18.4 | 1,200 | 65 |
鶏卵(全卵) | 12.3 | 780 | 63 |
イカ(生) | 15.6 | 950 | 61 |
真鯛(生) | 19.0 | 1,100 | 58 |
イワシ(生) | 19.2 | 1,100 | 57 |
本マグロ(生・赤身) | 28.3 | 1,500 | 53 |
ホウレン草(葉・生) | 3.3 | 150 | 45 |
小麦(中力粉) | 9.0 | 350 | 39 |
プロセスチーズ | 22.7 | 820 | 36 |
サツマイモ | 1.2 | 41 | 34 |
牛乳 | 2.9 | 93 | 32 |
キャベツ(葉・生) | 1.4 | 43 | 31 |
アルギニン
『アルギニン』は、尿素サイクルを構成するアミノ酸の一つで、 アルギニンのサプリメントは、若さを保つ、脂肪の燃焼を上げる、筋力を増す、 免疫力を高めるなど、多くの機能があるとされています。
■「アルギニン」とは?
『アルギニン』は名前にちなんだドリンク剤もあり、比較的よく耳にする機会の多い部類に属するアミノ酸です。 最近では一酸化窒素(NO)の前駆体となっていることや、免疫強化経腸栄養剤に添加されるようになったことから、 注目度も上昇しています。また、サプリメントでも人気が高まりつつある成分となってきています。
アルギニン(正確にはL−アルギニン)は、リシン、ヒスチジンと同じく分子内の側鎖にアミノ基をもつため、 塩基性のアミノ酸に分類されます。特にアルギニンはグアニジノ基を持っていることが特徴です。 食品中のアルギニン含有量は表1のようになります。 たんぱく質1gあたりで比較すると、アルギニンはゴマ、カシューナッツ、アーモンドなどの種子類に多く含まれています。 しかし1回あたりの摂取量を考慮すると、大豆製品のほか、肉類や魚類などの動物性食品に多く含まれているといえるでしょう。
●アルギニンの生体での働き
食品中のたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、9種類は体の中で合成できないため、必須アミノ酸と呼ばれます。 アルギニンは必須アミノ酸に含まれないものの、ヒスチジンと同様に乳幼児ではアルギニンの合成が非常に少なく、 栄養学的に必須であることから準必須アミノ酸と呼ぶ場合もあります。 アルギニンは、体内のアミノ酸代謝により発生する有毒なアンモニア(アミノ基)を尿素に処理する尿素サイクルの 構成要素となるだけでなく、クエン酸回路、クレアチン酸回路、クレアチン酸の合成、ポリアミン(プトレシン・ スペルミジン・スペルミン)の合成にも関与しています。
アルギニンが最近注目されるようになってきた理由の一つとして、NO(nitiric oxide)の多彩な機能が判明してきた ことが挙げられます。NOはさまざまな細胞においてアルギニンと酸素を基質として、 NO合成酵素(nitiric oxide synthase,NOS)により産生されます。NOは常温下で気体として存在し、 細胞膜を自由に通過して細胞内外の情報伝達に関与するきわめてユニークな情報伝達物質です。 狭心症治療薬のニトログリセリンや、勃起不全治療薬のシルデナフィルの作用機序に関与することも明らかとなっています。 遺伝子の解析から、NOSにはnNOS・iNOS・eNOSの3タイプが存在していることがわかっています。 nNOSは神経細胞などに存在して神経伝達に関与し、iNOSはマクロファージなどに存在し、 細胞障害作用に関与して生体防御反応しています。eNOSはおもに血管内皮細胞に存在し、NOSの産生によって 血管を拡張させ、血圧を低下させる作用があります。
また最近、アルギニンはn-3系脂肪酸、核酸、グルタミンなどとともに、免疫強化経腸栄養剤の成分として添加されています。 周述期(術前・術後)に使用すると、過剰な炎症反応と免疫能の低下を抑制し、術後感染症の発生を低下させるとともに、 重篤な病後において回復時間を短縮することが報告されています。さらに、アルギニンには診断用薬としての用途もあります。 アルギニンの成長ホルモン分泌刺激作用を利用して、下垂体機能異常の検査に用いられます。 この検査では、体重1kg当たり0.5g(体重60kgでは30g)のアルギニン製剤(塩酸アルギニン)を持続静注し、 成長ホルモンの血漿中濃度を指標として負荷後の濃度変化により検査を行うものです。
●アルギニンの経口摂取の効果と意義について
アルギニンは、入手可能な最も信頼できる科学的エビデンスによって裏づけが行われている米国の ナチュラルメディシンデータベース(NMDB)に収載されている成分です。 NMDBによれば、うっ血性心不全、感動脈性疾患(狭心症)による胸の痛み、狭心症患者のニトログリセリン効能を維持、 腎臓機能改善などの機能に対して有効性レベル3「効くと断言はできないが、効能の可能性が科学的に示唆されているレベル」 と判断されています。また、心臓発作の危険性低下は、有効性レベル4「効かないかもしれません」という判断がされています。
●アルギニンの経口摂取の注意点
アルギニンは健康な人が経口で適量を摂取する場合には、ほとんどの人に安全であると考えられていますが、 まれに、腹痛、お腹の張り、下痢などをもたらす場合が知られていますので、用量を正しく守る必要があります。 また、血清の尿素窒素やクレアチニンの濃度上昇、アレルギー反応や気道の炎症の悪化を引き起こす可能性があるので、 これらの疾患を持つ方は注意が必要です。妊婦、授乳婦の安全性に対する信頼度の高いデータは現在のところ 十分に得られていないので、使用は避けましょう。
医薬品との相互作用が報告されていますので、使用に当たっては注意が必要な場合があります。 ニトログリセリン、イソソルビドなど、心臓への血流を増大させる医薬品と併用すると、 めまいや立ちくらみなどを起こす怖れがあります。これはアルギニンが血流を増大させる作用があるため と考えられています。また、高血圧治療薬(降圧薬)を服用されている方にも注意が必要です。 アルギニンを高血圧治療薬と併用すると血圧が下がりすぎる可能性があります。 これらの治療薬にはアムロジピン、エナラプリル、カプトプリル、フロセミド、ロサルタンなどがあります。 また、シルデナフィルにも血圧低下作用のあることが知られており、併用すると血圧が下がりすぎ、 めまいなどの副作用をもたらす可能性があるので注意が必要です。