アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療』は、外用薬で炎症を抑えるのが基本で、使用方法や使用量を正しく理解して続けていくことが大切です。 また、かゆみ止めを内服することもあります。

■治療のポイント

●診断

かゆみのある湿疹が長く続く場合や、よくなっては再発することを繰り返す場合は、皮膚科専門医のいる医療機関を受診してください。 医師は、湿疹の形態や発症部位を診たうえで、@かゆみがある、A特徴的な皮疹(赤い湿疹など)と発症部位、 B症状が繰り返し起こる(乳児で2ヵ月以上、幼児から成人で6ヵ月以上継続)の3項目を満たすものをアトピー性皮膚炎と診断します。
診察では、アトピー性皮膚炎と似た症状のある他の病気と鑑別することが大切です。 病気によって治療法が異なるため、正確な診断を受ける必要があります。 血液検査によって、免疫に関わるIEg値や、白血球の一種である好酸球、 アトピー性皮膚炎の重症度を反映した数値が示されるTARC(ターク)値などを測定することもあります。 TARCが高い値を示すときは、皮膚の表面の症状が治まっていても、まだ内部には炎症が残っていることがわかります。 また、重症化しているケースでは、 「白内障」 「網膜剥離」 「カポジ水痘様発疹症」「伝染性軟属腫(水いぼ)」「伝染性膿痂疹(とびひ)」 などの合併症が起きていることもあるため、必要に応じて検査が行われます。


●治療の基本

重症度の評価をしたうえで、患者さんの症状に合わせて治療を行います。 標準治療では、「薬物療法「スキンケア」「症状を悪化させる因子への対策」の3つを同時に行うのが基本です。 急性期の強い炎症が起きていても、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に従って薬を適正に使えば、ほとんどの場合、数日から1週間程度で皮膚の状態は改善します。 ただし、皮膚の表面がきれいになっても、皮膚の下の見えない部分にはまだ炎症が残っているため、医師の指導に従って、薬による治療と、 保湿外用剤を用いたスキンケアを続ける必要があります。スキンケアは、乾燥を防ぎ、低下した皮膚のバリア機能を補うものです。

どの薬をどの程度の量や期間使うかは、患者さんの症状や湿疹ができている部位などによって異なりますが、 基本的にはステロイド外用薬を、最初は1日2回たっぷりと塗り、症状が改善したら、1日置き、3日置きなどと少しずつ量を減らす間欠塗布に移行していきます。 うまく症状をコントロールできるようになったら、最終的には、保湿外用剤によるスキンケアだけで皮膚のよい状態を維持するという進め方が治療の基本になります。 薬物療法で十分な効果が得られない場合には、「紫外線照射療法(光線療法)」などが行われることがあります。


■症状を悪化させる因子への対策

2歳未満の乳幼児の場合は、食物に加えて、汗、ダニ、ほこり、細菌、カビなどが主な悪化要因で、2歳以上になるとそれにストレスが加わります。 日常生活の中でできることとしては、室内にダニやほこりが溜まらないようにこまめに掃除をし、衣服は皮膚への刺激が少ないものを着用するとよいでしょう。 食物アレルギーを合併している場合を別にすれば、特定の食物の制限をしても、それだけでアトピー性皮膚炎が改善することはありません。 症状を悪化させる因子は複数存在するため、1つの悪化因子だけを徹底的に排除しても、それだけではなかなか完治は望めません。 皮膚は、肝臓、腎臓、胃、腸などの臓器と密接な関係にあるため、栄養バランスの良い食事を摂って、規則正しい生活を送り、体調管理に努めることが大切です。 不規則な生活やストレスのある環境があれば、それをできるだけ改善していくようにします。 そのうえで、薬を徐々に減らしながら、日常生活に支障のない状態を維持していくことを目指します。

医師の指導の下で治療を進めても症状の改善がはかばかしくない場合は、専門の検査を受けて、原因や悪化要因を探し出して取り除くことも大切です。 アトピー性皮膚炎は、症状のコントロールが比較的容易な病気といえます。 慢性疾患なので、時には再燃することもありますが、適切なセルフケアをしてよい状態を保つことで、必ず改善できます。 焦らず病気と上手に付き合っていくことが大切です。