イボ
イボには「ウィルス性」と「非ウィルス性」がある
体のさまざまな部位に現れる『イボ』。 イボは、子供から高齢者まで幅広い年代で起こりますが、通常、痛みやかゆみなどの症状はありません。 イボには、いくつかの種類があり、人から人に移る「ウィルス性のイボ」と、移らない「非ウィルス性のイボ」に大きく分けられます。
■ウィルス性のイボ
皮膚に傷があると、傷口から入り込んだウィルスによってイボができることがあり、主に次のようなものがあります。
- ▼疣贅(ゆうぜい)
- ヒトパピローマウイルスに感染して起こるイボです。 疣贅は、主に「尋常性疣贅」と「扁平疣贅」の2種類があり、イボの性状やできやすい部位が異なります。 尋常性疣贅は、主に手の指や足の裏などに起こりやすく、隆起した丸みを帯びた形で、表面がザラザラしたイボとツルツルしたイボがあります。 大きさは、通常直径1cm程度ですが、イボ同士がくっついて大きくなることもあります。 扁平疣贅は、主に顔や腕、手の甲、膝から下などに起こりやすい、皮膚の色や茶色の平たいイボで、20~40歳代の女性に多く見られます。 顔にできた扁平疣贅はニキビと間違われやすく、なかには美顔器などを使ってイボが顔中に広がってしまったケースもあるので、注意が必要です。
- ▼伝染性軟属腫(水イボ)
- 伝染性軟属腫ウィルスに感染して起こるイボです。プールなどで感染しやすく、子供に多く発症します。 表面が滑らかで光沢があり、やがて中央がへこんできます。体のさまざまな部位に起こります。
■非ウィルス性のイボ
非ウィルス性のイボは、加齢が大きな原因になるため、中年期から増えてきます。
- ▼脂漏性角化症(老人性イボ)
- 顔や手の甲、腕などに起こりやすく、表面がザラザラして褐色や黒色に盛り上がるイボです。 紫外線によるシミがイボになるため、男女を問わず、長年日焼けしやすい生活を送ってきた人に多く見られます。
- ▼軟性線維腫
- 主に首の周りに起こりますが、上腕部や脇の下、鼠径部など皮膚が薄くて柔らかい部位にも起こりやすく、褐色や黒色の軟らかく出っ張ったイボになります。 皮膚が、ネックレスや衣服の襟・袖などと擦れることで起こります。
■イボの治療
イボの種類や症状によって治療法が異なる
早めに皮膚科を受診して、イボの種類に応じた適切な治療を受けることが大切です。 イボに対してはさまざまな治療法がありますが、健康保険が適用されているものが少ないのが現状です。 そのため、健康保険が適用されていない治療法も含め、イボの種類や症状に合った治療法が選択されます。
- ▼液体窒素凍結法
- 足の裏以外の尋常性疣贅や、扁平疣贅、脂漏性角化症に対して行われます。 液体窒素を含ませた綿棒を患部に押し当て、表皮の細胞ごと破壊し、イボを治療します。
- ▼サリチル酸軟膏
- 角質が厚い足の裏にできた尋常性疣贅の場合は、サリチル酸軟膏を塗り、イボの角質を柔らかくして、剥がれやすくします。
- ▼ヨクイニンエキス
- 尋常性疣贅や扁平疣贅では、漢方薬のヨクイニンエキスの飲み薬を併用することがあります。 ヨクイニンエキスには、免疫細胞の1つであるナチュラルキラー細胞を活性化する作用があり、免疫の働きを高めるとされています。
- ▼イボの除去
- 伝染性軟属腫では、皮膚に局所麻酔薬のテープを貼って患部に麻酔をかけ、ピンセットでイボをつまみ取ります。 軟性線維腫では、医療用のはさみを使ってイボを切除します。
- ▼レーザー療法
- 脂漏性角化症では、患部にレーザーを照射してイボを治療することがあります。
■イボを予防するための日常生活での注意点
●ウィルス性のイボに対して
- ▼傷を作らない
- イボの原因となるウィルスは、手足の傷や指のささくれ、顔の小さなひっかき傷などから侵入するのでできるだけ傷を作らないようにします。 また、ワセリンなどの保湿剤を塗って皮膚に膜を作っておくと、ウィルスの侵入を防げる可能性があります。 足の裏にイボができないようにするためには、公衆浴場などでは足拭きマットの使用を避けたり、 使用した場合は足の裏をタオルで拭くようにするとよいでしょう。
- ▼規則正しい生活を心がける
- 免疫の働きを保つことが大切です。そのためには、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠などを心掛けましょう。
●非ウィルス性のイボに対して
- ▼紫外線対策を行う
- 脂漏性角化症を予防するためには、日焼け止めを塗るなどの紫外線対策を行いましょう。
- ▼皮膚への摩擦を避ける
- 軟性線維腫を予防するためには、ネックレスや、襟や袖の生地が硬いシャツなどは避けましょう。