皮膚癌(がん)

皮膚癌」は、「しみ」や「ほくろ」「湿疹」に似ているため、見過ごしてしまうことも多い癌です。 日ごろから全身の皮膚をチェックする習慣をつけ、ほくろの大きさや色が変化したなど、疑わしい症状があれば、早めに受診しましょう。

■「皮膚癌」とは?

紫外線が当たる場所を中心に、全身のどこにでもできる

『皮膚癌』の主な原因は、紫外線に当たることです。強い紫外線を浴びると、皮膚の細胞は傷つきます。 本来、私たちの体にはこうした損傷を修復する仕組みがあります。 しかし紫外線を長期間浴び続けると、傷ついた皮膚の細胞の修復が追いつかなくなり、皮膚癌の発生につながります。 皮膚癌が発生する危険性は、紫外線に当たった期間や量に比例して高くなります。 したがって皮膚癌は高齢者に多く、社会の高齢化に伴い、患者も増える傾向にあります。 皮膚癌は紫外線が当たる場所を中心に、全身のどこにでもできます。

皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層から成り立ちます。皮膚癌はこのうち主に表皮から発生し、 より奥へと増殖していきます。表皮は「基底細胞」「有棘細胞」「メラノサイト」などいくつかの細胞に分かれています。


●皮膚癌の種類と特徴

表皮のどの細胞が癌化するかで分類される

▼基底細胞癌
「基底細胞癌」は、皮膚癌の中でも最も多いタイプです。肌の露出部分、特に顔に多く発生します。 癌は徐々に大きくなり、やがて中央の部分が潰瘍化します。転移はほとんどしませんが、 進行すると大きく深く成長し、命に関わることもあります。

▼有棘細胞癌
「有棘細胞癌」は日光の当たりやすい顔や手の甲などによくできます。 また、手術などによる深い傷痕や、大きなやけどの痕、放射線を当てた部位などに発生することも少なくありません。 最初はいぼのようなものができ、進行するといぼが成長して硬い塊になったり、さまざまな形に盛り上がったりします。 成長した部分に潰瘍ができ、悪臭を放つこともあります。有棘細胞癌は、大きくなると「リンパ節」 などに転移しやすいのが特徴です。

▼メラノーマ
「メラノーマ」は、進行が早く転移しやすい癌で、あらゆる癌の中でも最も悪性度が高いものの一つに 数えられています。他の皮膚癌に比べて発症年齢はやや低く、40〜50歳代から患者が増えてきます。 色素に関わる細胞が癌化するため、「黒っぽいシミ」「ほくろ」のようなものができますが、 日本では足の裏や手足の指先、爪などによく見られます。

▼表皮内癌
そのほか、癌細胞が発生しているものの、まだ表皮内にとどまっている状態の「表皮内癌」があります。 表皮内癌は、放っておくと、いずれ表皮外に進行する可能性があります。 表皮内癌は、一見すると「シミ」や「湿疹」に似ており、「かゆみ」を伴うこともあります。 また、陰部に発症しやすいものもあり、湿疹と間違われやすい症状が出ることもあるので注意が必要です。 「新しいほくろができた」「シミができて、少しずつ色や形が変化する」「薬を適切に使っても湿疹が治らない」 といった場合は皮膚癌の可能性があるため、すぐに皮膚科を受診して下さい。

●皮膚癌の検査

ダーモスコープを使って病変部を拡大してみる

皮膚癌の検査の基本は、医師の視診と触診です。最近では「ダーモスコープ」という特殊な拡大鏡を使って、 病変部を10〜50倍ほどに拡大し、癌の形状を詳しく調べられるようになりました。 視診では診断がつかない場合や、癌が疑われる場合は、異常のある皮膚の一部を採って癌細胞の有無を調べる 「皮膚生検」を行います。皮膚生検を行うことで、癌の進行の程度もわかります。 ただし、メラノーマの場合、皮膚生検は転移を促す可能性があるため、原則行われません。 癌が大きくて転移が疑われる場合には、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査などで全身を調べます。


●皮膚癌の治療

病変部とその周囲の組織を切除するのが基本

皮膚癌と診断されたら、病変部とその周囲を切除するのが基本です。 基底細胞癌は、癌とその周囲の皮膚を少し切除します。 有棘細胞癌の場合は癌のある部位にもよりますが、癌とその周囲を比較的広く切除します。 メラノーマが疑われる場合は、広く、深く切除します。まれに皮膚生検手術が同時に行われることもあります。 切除手術は癌が小さければ、外来で行うこともできます。癌が大きく、切除範囲が広い場合、太ももや背中などから 皮膚を移植することもあるため、1〜4週間ほどの入院が必要です。 有棘細胞癌やメラノーマでリンパ節などに転移があれば、転移している部分も一緒に切除します。 手術後は、体力が回復するのを待って「抗癌剤」や「インターフェロン」を用いた「化学療法」が行われます。 治療終了後は、再発や転移の有無を診るため、半年〜1年に1回ほど検査を受けます。

◆表皮内癌の治療法

表皮内癌も治療の基本は切除手術です。しかし、早期の場合や年齢、体の状態、癌の部位などによっては、 次のような体への負担が比較的少ない治療が行われることがあります。

▼抗癌剤の軟膏の使用
病変部に抗癌剤の軟膏を塗ります。2〜3週間後に病変部はびらんを経てかさぶたになり、やがて剥がれ落ちます。

▼凍結療法
マイナス196℃の「液体窒素」を病変部に綿棒で塗布し、癌を凍結させて、細胞を死滅させます。 1〜2週間でかさぶたの状態になって剥がれ落ちます。

▼炭酸ガスレーザーによる治療
病変部に炭酸ガスを使用したレーザーを当て、癌を焼き切ります。1〜2週間ほどでかさぶたになり、 剥がれ落ちます。


皮膚の異常は自分で見て確認できるので、入浴の際などに、全身を鏡などでチェックする習慣をつけましょう。 自分で見ることのできない背中などは家族に見てもらうといいでしょう。 少しでも異変を感じた場合は皮膚科を受診してください。