水虫対策

水虫を治療しても繰り返す場合は、しっかりと治し切れていないのかもしれません。 水虫の原因である白癬菌の性質と皮膚の新陳代謝の仕組みをよく理解して、しつこい水虫を今度こそ確実に治しましょう。


■水虫は皮膚の感染症

▼水虫の原因、白癬菌の正体は?
水虫は、カビ(真菌)の一種である「白癬菌」が、皮膚の角質層に入り込むことで起こる皮膚の感染症です。 白癬菌は角質や爪に含まれるケラチンというたんぱく質を栄養源としています。 特に足の裏の角質は体のほかの部分に比べて厚く、白癬菌の栄養源が豊富であるため、水虫は足に起こりやすいのです。 また、水虫を何年も放置して、白癬菌が爪の中に入り込むと、爪の水虫(爪白癬)になります。 白癬菌は角質が新陳代謝で剥がれた”垢(あか)”の中にも生息しているため、これが新たな感染源になります。 垢の中の白癬菌は、半年以上も生き続けるといわれます。

▼高齢者には水虫のある人が多い
白癬菌はどこにでもいる菌ですから、誰にでも感染する可能性があり、日本人の10人に1人は水虫があると考えられます。 水虫のある人は、中高年になるほど多くなります。これは、年齢とともに白癬菌と接触する確率が高くなり、 感染すると自然に治ることはまずないこと、また、高齢になると手足の手入れがおろそかになりやすいことなどが関係していると考えられます。 実際、高齢者施設では、入居者の8~9割に水虫があったという報告もあります。

▼糖尿病のある人は水虫に注意
糖尿病があると、感染に対する抵抗力が弱くなります。 また、角質に含まれる糖分が多い、つまり角質の栄養価が高いので、白癬菌が繁殖しやすくなります。 そのため、糖尿病のある人は水虫になりやすく、なると悪化し壊疽を引き起こすこともあるので、十分な注意が必要です。

■正しい診断を受けることが完治への第一歩!

▼水虫のある人の半数以上はかゆくない
「水虫=かゆい」と考える人は多いのですが、実は水虫のある人の半数以上はかゆみなどの自覚症状はありません。 そのため、水虫があるのに気づいていない人もたくさんいるのです。 逆に、かゆみや水疱などの症状から水虫を疑って皮膚科を受診した人の約1/3は水虫ではなく、 湿疹やかぶれなどほかの皮膚の病気ということがあります。 つまり、水虫は症状だけで自己判断できません。

▼気になる症状があれば皮膚科へ
足に「かゆい、むずむずする、皮がむける、ざらざらする」などの症状がある場合、また爪に「白く、または黄色っぽく濁った部分がある、 厚くなる、ボロボロになる」などの変化が生じた場合は、何らかのトラブルが起きている証拠です。 普段から足の状態をよく観察し、気になる症状があれば、皮膚科を受診しましょう。

▼水虫の診断には「顕微鏡検査」が必要
皮膚科の専門医でも、見た目で水虫かどうかを診断するのは難しいものです。 診断のためには、医師が皮膚や爪の一部を削り取り、顕微鏡で白癬菌の存在を確認する「顕微鏡検査」が必要です。 顕微鏡検査は受診したときに数分で行える簡単な検査ですが、最近は、皮膚科でも顕微鏡検査を行うのは半数程度に減ってきているといわれます。 正確な診断のためには、顕微鏡検査を行っている皮膚科を選んで受診することをお勧めします。

■新陳代謝の仕組みを理解して”治し切る”

▼治療の中止が再発の原因
高温多湿になる夏場は、白癬菌の活動が活発になるので、かゆみなどの症状が現れやすくなります。 皮膚科で処方された塗り薬などを使うと、多くの場合、1~2週間ほどで改善し、見た目もきれいになるので、 「これで治った」と思って治療をやめてしまう人が少なくありません。 しかし、この段階では角質層のほうにいる白癬菌は、まだ生き残っています。

▼水虫の治療
塗り薬の場合、白癬菌は足の裏のどこに潜んでいるかわからないので、症状のある部分だけでなく、足の裏全体、 また、足の指と指の間にもむらなく塗るのがポイントです。

▼症状がよくなった後も3ヵ月間は治療を続ける
水虫を完治するには、角質層の奥に潜んでいる白癬菌をすべて退治しなくてはなりません。 足の裏の角質は厚いので、新陳代謝(ターンオーバー)が遅く、新しい角質に生まれ変わるのに3ヵ月ほどかかります。 症状がよくなった後も、少なくとも3ヵ月間は薬を塗り続けることが必要です。 足の爪、特に親指の爪の場合は、新しく生え変わるまでに1年~1年半ほどかかるので、爪白癬ではさらに長期間の治療が必要です。 完治したかどうかは自己判断ではなく、皮膚科医に確認してもらいましょう。

▼爪白癬の治療
以前は、爪白癬の治療には内服薬が必要でしたが、現在は爪白癬に効果のある塗り薬が登場し、治療の選択の幅が大きく広がりました。 爪白癬の内服薬は、他の薬との飲み合わせや肝機能障害などの副作用に注意が必要なので、服用する場合は定期的に肝機能検査のチェックを受けるなど、 皮膚科医の管理の下で正しく使うことが大切です。

■角質に入り込ませない感染対策

白癬菌はどこにでもいる菌なので、油断していると感染・再感染する恐れがあります。 感染・再感染を防ぐためには、普段から白癬菌は足につくものと考えて、角質層に入り込ませないための対策を取ることが大切です。

▼対策①1日1回は足を丁寧に洗う
足に着いた白癬菌が角質層に入り込むのには、約24時間かかるといわれます。 1日1回は足を石鹸で丁寧に洗い、白癬菌をきれいに取り除きましょう。 角質に傷ができると白癬菌が入り込みやすくなるので、ナイロンタオルなどでゴシゴシこすったり、軽石などで角質を削ったりせず、 手を使って優しく洗いましょう。洗った後は水気を十分に拭きとり、しっかり乾燥させます。

▼対策②足の裏を健康に保つ
健康な足の裏は柔らかく、ツルツルしています。足の裏が硬く、カサカサするのは、皮膚の乾燥によって、角質の表面が捲れているからです。 捲れた角質の隙間からは、白癬菌が入り込みやすくなります。洗った後は保湿をして、角質のキメを整えておきましょう。 また、足の裏の角質が厚くなると、それだけ白癬菌の住処が広がることになるので、角質を厚くしないことも水虫予防のポイントです。 角質は外から物理的な刺激を受けると、防御反応で厚くなる性質があります。 靴はクッション性があって歩きやすいものを選ぶようにしましょう。

▼対策③通気性のよい靴や靴下を履く
白癬菌は湿度が70%以上になると、活発に活動を始めます。靴の中は湿度が高くなりやすいので、できるだけ履く時間を短くしたり、 必要な時以外はサンダルなどの通気性のよい靴に履き替えたりするとよいでしょう。

▼対策④感染を防ぐ
家族に水虫のある人がいると、他の家族に感染する恐れがあります。 「スリッパを共有しない」「足拭きマットは毎日洗う」「素足で触れる場所はこまめに掃除する」などを心がけましょう。 また、銭湯やプールなど、人が多く集まる場所で素足になった場合は、靴下を履く前に、白癬菌を落とすためにタオルで足の裏や指の間を拭くだけでも、 感染の予防になります。