【質問】「クスマウル病」とはどんな病気ですか?

十数年前から、時々、顎下腺が詰まって痛むようになりました。患部をマッサージすると症状はすぐに治まります。 時折、消炎剤も処方されました。原因がよくわからないでいたのですが、昨年6月にCTと超音波による詳しい検査を受けたところ、 クスマウル病と診断されました。 4週ごとに、両顎下の唾液管を洗浄してもらい、最近は症状が軽くなっていますが、洗浄を休むと元の状態に戻ってしまいます。 クスマウル病について詳しく教えてください。


【答】

「クスマウル病」は、繰り返し、突然に唾液腺が腫れる病気です。 唾液腺には「おたふくかぜ」のときに腫れる耳下腺や顎下腺などがあります。 クスマウル病は、1879年にクスマウルが初めて報告した病気で、「腺維素性唾液管炎」とも呼ばれています。 唾液の出るところから、白い索状の分泌物(腺維素塊)が排出されるのが特徴的です。 20歳代から70歳代と幅広い年齢層に見られますが、小児では稀です。男女差はありません。 両側の唾液腺が腫れることもあります。ご質問者のように、腫れると痛みを伴い、患部をマッサージすると分泌物が排出され、腫れの症状は一時的に治まります。 この分泌物の中には、アレルギーと関連する好酸球という成分が含まれています。 そのため 「気管支喘息」「アレルギー性鼻炎」 「食物アレルギー」 「蕁麻疹」などと合併することが多い病気です。

診断は、採血や画像検査などで行います。血液検査では、好酸球値の上昇やダニ、ハウスダストなどの抗体価陽性が認められます。 また、造影剤を唾液管に注入してエックス線撮影を行う唾液腺造影や、CTが有用です。 いずれも、末梢ではなく主導管(唾液の出口に近い所)に高度に拡張した様子が見られます。 超音波検査の画像でも、拡張した導管と著しく増加した周囲の血管の様子が見られます。

治療は、薬物療法になります。 アレルギーが関係しているところから、 抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイドなどを内服します。 経過を見て、唾液管の洗浄や副腎皮質ステロイドの局所注入をします。 ただし、いずれも根本的な治療ではないため、治療をやめるとまた腫れることがあります。 しかし、症状が進行したり、悪性化することはありませんので、ご安心ください。 また、繰り返さないためには、腫れた時に自分でマッサージをして、分泌物を出すことが予防になります。 マッサージについては、担当医から適切な指導を受けることも大切です。

(この答えは、2017年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)