【質問】唾を飲むと音がします

半年ほど前に副鼻腔炎になり、 その後、左耳に閉塞感や呼吸音がみられたので、漢方薬、生理食塩水の点鼻などの治療を受けました。 現在は、唾を飲むときに左耳に「ガジッ」という音がします。 この音を消すにはどのようにすればよいでしょうか。治療法はありますか。
●60歳代・女性


【答】

唾を飲むと音がする場合は、耳(鼓膜の奥の中耳腔という部屋)と鼻の奥にある上咽頭とをつなぐ「耳管」に問題があることが多いです。 耳管は、普段は閉じた状態になっていますが、エレベーターに乗る、高いところへ上るなどで外気圧が変化すると、 耳管が開いて中耳腔と外界の圧のバランスを調整します。 鼻の調子が悪くなると、耳管の働きが低下して聞きにくくなり、耳がツーンと圧迫された感じになることがあります。 この状態が続くと中耳腔に液体が溜まる滲出性中耳炎 になることがあります。滲出性中耳炎は、中耳腔に炎症が起こって膿が溜まる 急性中耳炎とは異なり、 痛みを感じることはあまりなく、熱も出ません。自分の声がこもる、聞こえにくくなるなどが主な症状です。 また、あくびをしたり、唾を飲み込んだりしたときに、中耳腔に溜まっている液体が動くと、耳の中で音がすることがあります。 ご質問者の場合は、半年ほど前に副鼻腔炎になったということですので、 耳管にも何らかの影響があったのではないかと思われます。 また、鼻の調子が悪くなくても、年齢による変化などで耳管の働きが悪くなると、耳管が詰まり気味になったり、逆に開き気味になったりすることがあり、 聞こえや音の響きに影響することがあります。耳管が詰まり気味の場合は、中耳腔には陰圧がかかった状態になるので、 自分の声がこもったように聞こえ、周囲の音も聞こえにくくなります。 そして、唾を飲み込んだり、あくびをしたりしたときに、耳管が開く音が聞こえる場合があります。 逆に、耳管が開きっぱなしになると、「耳管開放症」という病気になり、 自分の声や周囲の音が大きく響いて感じるなど、非常に不快な症状が現れることもあります。 「唾を飲むと音がする」という症状は、状況によって治るものであったり、治りにくいものであったりするので、 まずは耳鼻咽喉科を受診して、相談されるのがよいでしょう。

(この答えは、2020年2月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)