【質問】腎臓に動脈瘤が見つかりました
5ヶ月ほど前、急に血圧が上昇した(200/90mmHg)ので、内科を受診しました。
血液検査やCT検査を受け、腎臓に7mmの動脈瘤が見付かりました。
動脈瘤の原因、経過、小さくする治療法などを教えてください。
現在、血圧は正常に戻り、自覚症状もありません。
●86歳・女性
【答】
「腎動脈瘤」は、比較的稀な病気で、多くは症状が現れません。 近年の画像診断の進歩により、検診やほかの病気の精密検査などで偶然に発見されるケースが多くみられます。 動脈瘤は、大きく「真性」「仮性」「解離性」に分類されます。 血管の壁は内膜、中膜、外膜の3層からなっていますが、真性動脈瘤は血管の3層構造が保たれたまま瘤になるタイプです。 先天性の血管壁の異常に、二次的な要因(加齢、 高血圧、妊娠、 脂質異常症、 喫煙など)が加わって瘤の形成に至ると考えられています。 仮性動脈瘤は血管の壁に孔が開き、漏れた血液が周りの組織を圧迫して瘤になるタイプです。 主に外傷などによって起こります。解離性動脈瘤は内膜に亀裂ができ、内膜と中膜の間に血液が入り込み、その解離(裂け目)が広がっていくタイプです。 高血圧を合併しているケースが非常に多くみられます。
腎動脈瘤の治療は、瘤の大きさが2cm以上の場合に手術を行うとする考え方が一般的です。
ご質問者の場合は7mmですから、すぐに治療する必要はなく、半年に1度の経過観察でよいと思います。
なお、「瘤の破裂」「妊娠の可能性がある」「腹痛や血尿などの症状がある」「瘤が急に大きくなる」などの場合は、
瘤の大きさに関係なく、手術が検討されます。
動脈瘤を小さくする内科的な治療法は、現在のところありません。
治療が必要な場合は、血管内治療か外科的治療のどちらかが選択されます。
血管内治療が可能な場合は、コイルなどによる塞栓術などが行われます。
血管内治療が困難な場合は、外科的治療として瘤切除と腎動脈血行再建が行われます。
また、瘤の場所や形態などにより通常の手術が困難な場合には、一旦腎臓を摘出し、体外で血管形成や再建を行った後に再移植する
「自家腎移植」が行われることもあります。
動脈瘤が破裂すると治療が非常に困難となり、死亡率も高くなるため、治療の適応があるとされた場合、早目に治療を検討することが勧められます。
(この答えは、2020年9月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)