【質問】「咳喘息」が治りません

十数年来、咳が続いています。季節の変わり目などに1ヵ月くらい咳が出ていたのですが、この1年間は年中咳が出るようになりました。 そのころから血圧も高くなりました。「咳喘息でしょう」とのことで、薬を処方してもらい飲んでいますが、一向によくなりません。 何とか咳を改善する方法はないでしょうか。(80歳・女性)(使用中の薬はシムビコート。タービュヘイラー、を朝夕2回吸入。 以前はムコダイン、ノイチーム、メジコン、キプレスを使用していた)


【答】

咳は、患者さんが病院を受診する理由として、世界中で頻度が高い症状です。 咳の診断と治療が難しいのは、原因疾患が「風邪」のように軽いものから「肺がん」のように命に関わる重篤なものまで多岐にわたることに加えて、 肺や心臓の病気だけでなく、全身性の病気が原因となることがあるため、診療する側に膨大な知識と経験が必要とされることが一因と考えられます。 一般には、胸部エックス線写真を撮影して、肺がんや「肺結核」のような重篤な疾患を除外した後、咳の持続期間や症状の特徴から、 ある程度頻度の高い原因疾患を絞り、それに対する治療をすることが推奨されています。

ご質問の内容を見ると、咳は十数年続いており、季節の変わり目に出やすいことから「咳喘息」が最も考えられ、その治療が行われているようです。 咳喘息は、典型的な「喘息」と違って、ゼイゼイという喘鳴や呼吸困難を伴わずに、咳だけが続く喘息で、2ヵ月以上続く原因不明の成人の咳の中で 最も頻度が高いことが知られています。もし、咳の原因が咳喘息だけであれば、シムビコート、タービュヘイラー吸入によって咳が和らぐか消失しますが、 効果がないのであればいくつかの原因が考えられます。

第一は、吸入の仕方です。吸入は確実に行われているでしょうか。咳をしながら吸入をしても、十分に吸入や吸入後の息止めができていない可能性があります。 この場合、担当医に吸入の仕方を確認してもらうことが重要です。 第二は、重症の咳喘息であれば、吸入だけでは効果がないため、内服薬のステロイドを使う必要があります。 第三は、慢性の咳では原因が複数あることもあり、咳喘息に他の原因疾患を合併している可能性があります。 最後に、咳喘息以外が原因であることも考えられますので、現在の治療法で効果がなければ、呼吸器の専門医を受診することをお勧めします。 近年の医学の進歩によって、咳の診断と治療はかなり進歩してきましたが、専門機関で検査をしても原因が不明で、長く続く咳があるのも事実です。 薬物治療に加え、咳が誘発されやすいような状況がある場合には、その回避と心身の安静をとることが重要です。

(この答えは、2014年4月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)