【質問】CT検査で肺に淡い影が見つかりました

約3年前に受けた胸部CT検査で、ほくろのような淡い影(すりガラス影)が左肺に4つ、右肺に2つ見つかり、経過観察となりました。 その後、サイズや形状に変化はありませんでしたが、前回の検査では2mm大きくなって10mmでした。現在も経過観察中です。 もし、癌の可能性があるのなら、一刻も早く治療した方がよいのではと思うのですが、いかがでしょうか。
●81歳・男性


【答】

胸部CT検査で見つかった淡い影(すりガラス影)が、癌かどうかを確定診断するには、生検(病変の組織を採って癌細胞があるかどうかを調べる検査) による病理診断が必要です。しかし、大きさ数mmのすりガラス影の場合、気管支鏡による生検やCTガイド下生検では十分な量の組織を採ることが難しいため、 手術をして肺の組織を採ることが必要となります。 すりガラス影が見られる場合は、癌の手前の「異型腺腫様過形成」の可能性があり、また、癌であっても悪性度は低く、進行は緩やかなことが多いです。 最近は胸腔鏡を用いた手術が普及し、前癌状態や進行の遅いタイプの癌でも、すぐに手術することもあります。 しかし、手術によって正常な肺も切除することや、手術に伴う合併症などのリスクもあるため、手術をするかどうかや手術のタイミングは、 病気の進行の程度をみて検討することが大切です。
また、ご質問者のように複数のすりガラス影を認める場合は、どれを手術して取るのかが問題となります。 病変の場所によっては、すべての病変を取った場合、残る正常な肺がほとんどなくなってしまうこともあります。 そのため、すりガラス影が複数ある場合は、経過観察をすることが多くあります。 経過観察中の画像検査で、すりガラス影のなかに濃い部分が出てきた場合や、増大の速度が速く進行が早いことが予想される場合は、 手術でその部分を早目に切除することを勧めることもあります。 ご質問者の場合は数年で約2mmの増大ですから、癌であっても進行が緩やかなタイプだと推察できます。 また、81歳と高齢であり、手術の負担に耐えられるかどうかなども慎重に検討することが必要です。 これらのことを考えると、現状では経過観察がよい選択ではないかと思われます。 どうしても心配な場合は、担当医と相談し、経過観察の期間を少し短くしてもらうとよいでしょう。

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)