■質問:変形性膝関節症の手術を受けるか迷っています

15年ほど前から「変形性膝関節症」で、これまで定期的にヒアルロン酸の注射を受けてきました。 3ヵ月ほど前から急に左膝の痛みが増し、立つのも歩くのも大変になりました。 MRI検査の結果は、左膝の関節軟骨が内側優位に欠損しているということでした。 このような場合、早く手術を受けた方がよいのか、それとも運動をしながら回復を待つ方がよいのか、迷っています。
●80歳代・女性


【答】

「変形性膝関節症」は、 関節のクッションの働きをしている関節軟骨が、加齢とともに少しずつ摩り減ることにより生じる、 誰にでも起こりうる病気です。明らかな原因がなく生じる中高齢者の痛みのほとんどが、変形性膝関節症によるものです。 歩きはじめに膝に違和感があるが、歩行に全く支障がない軽い症状の人から、関節の変形が進んで歩行が困難になり、 外出ができなくなるなどの重い症状の人までいらっしゃいます。 変形性膝関節症による痛みの改善には、関節を適度に動かしながら治していく運動療法が有効です。 膝を支える筋肉を鍛える体操や膝関節のストレッチ体操、ウォーキングなどを行うことが、 痛みや機能の改善に繋がります。 膝が腫れて痛みが強く、運動療法を行うことが難しい場合は、消炎鎮痛薬の内服や外用、関節内注射などの薬物療法の手助けが必要です。 また、変形が進行して歩行時のバランスがよくない場合は、足底板、 膝サポーター、杖などで歩行時の痛みの改善を目指します。 こうした保存療法により痛みが改善すれば、根気よく治療を継続しながら積極的に体を動かしていきましょう。 癌や心筋梗塞と異なり、変形性膝関節症の場合は、エックス線などの画像検査で異変が見られても、必ずしも手術が必要とは限りません。 MRI画像で内側の関節軟骨が完全に消失している場合でも、保存療法を行うことにより、痛みが改善するケースもあります。 手術を検討するのは、保存療法を継続しても関節の変形が進行して、日常生活に大きな支障が生じる場合です。 「人工関節置換術」「骨切り術」といった術式が一般的で、術後の成績は比較的安定しています。 外出が満足にできなかった患者さんが旅行を楽しめるようになったなど、手術後は痛みや変形が改善することにより、生活の質が大きく向上します。

ご質問者の場合は、長年、保存療法を行っても痛みが改善していないようですから、人工関節などの手術を検討する段階にあると考えてもよいでしょう。 全身状態が良好で、術後のリハビリテーションをしっかり行うことができれば、高齢でも比較的安全に手術を受けることができます。 なお、この手術は急いで行う必要はありませんので、ご自身やご家族などの都合に合わせて日程を組むことが可能です。

(この答えは、2017年8月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)