■質問:腹部大動脈瘤が破裂する確率は?

昨年、泌尿器科で受けた検査で「腹部大動脈瘤(6cm)」が見つかりました。 循環器科で手術を希望しましたが、「腎委縮があり、造影剤を使った検査をすると腎不全のリスクがある」と言われ、手術はやめました。 大動脈瘤が破裂する確率はどのくらいですか。大動脈瘤の成長を抑える薬や食事の注意点などについても教えてください。
●88歳・男性


【答】

55mm以上の大きさの「腹部大動脈瘤」が破裂する確率は、1年間で20%、2年間で50%程度とされています。 ひとたび破裂すると、救命率は10~15%です。ただし、これは欧米の報告で、日本のデータはありません。 現時点では、大動脈瘤の成長を直接抑える薬は実用化されていません。 破裂のきっかけとなるのは血圧なので、まずは血圧をできるだけ下げることが大切です。 しかし、人間が生命を維持するためにはある程度の血圧が必要で、6cmの瘤だと低い血圧でも破裂は起こりえます。 さらに、腎臓機能障害がある患者さんでは、降圧によって腎機能がさらに悪化することもあり、血圧コントロールのさじ加減が難しくなります。 日常では寒暖差や排便時の息み、重いものを持つなどによる急激な血圧の変動を避けることが重要です。 また、禁煙も欠かせません。 なお、一部では悪玉コレステロールを下げる薬や、 炎症を抑える薬などの効果を期待させる研究もありますが、実際の患者さんへの効果は確認されていません。 食事に関しては、減塩が大切です。他はあまり気を遣うよりも、品数多く、バランスよく栄養を摂ることを優先してください。

大動脈瘤は専門性の高い病気です。内科医で大動脈瘤を専門としている医師は少ないので、 血管外科、もしくは心臓血管外科でセカンドオピニオンを受けることを考えてもよいと思います。 造影剤による腎不全を危惧されていますが、高度の腎障害がある場合は、治療を受けなくとも近い将来には血液透析が必要となる可能性が高いので、 それのみを理由に治療を忌避するのは再考すべきでしょう。 一部施設では腎機能への影響がほとんどない炭酸ガスを用いた造影で代用することもできます。 ご質問者はご高齢であることから、今後の過ごし方へのお考えもお持ちと拝察します。 治療の選択肢があること、そして破裂という危機感を持ったまま人生を送ることへの不安もお考えいただき、セカンドオピニオンをご検討ください。

(この答えは、2019年6月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)