期外収縮予防に『背筋伸ばし』

鼓動が急に乱れる最も多い不整脈『期外収縮』は、連発すれば要注意で、 防ぐ第一は心臓を痛打するストレスを除く『背筋伸ばし』。


■期外収縮

最も多い不整脈「期外収縮」も軽視せず、発症を徹底的に防ぐべきで、秘策はストレスの強制消去。

●期外収縮拍動のリズムが乱れた不整脈

不整脈と聞いたとき、中には心筋梗塞や狭心症といった大病の前触れと考える人もいるかもしれません。 しかし、健康な人でも動悸がしたり、脈が飛んだりすることは珍しくないのです。 厳密に言うと不整脈はいくつかのタイプに分かれますが、最も多くの人に見られるのが『期外収縮』です。 心臓は収縮することで血液を全身に送り、拡張することで血液を受け取ります。 この一連の動きを「拍動」といいます。そして、この拍動が起こるのは、心臓の洞結節という部分が電気刺激を 発生させるからです。しかも、洞結節からの電気刺激は規則正しく発せられており、1分間に60~80回と決まっています。 ところが、何かのきっかけで洞結節以外の心房や心室で電気刺激が発生することがあります。 すると、心臓が通常より早いタイミングで収縮し、その結果、心臓の拍動のリズムが乱れて、期外収縮が起こるのです。 ちなみに、心室で電気刺激が起こるものを「心室性期外収縮」、心房で電気刺激が起こるものを 「上室性(心房性)期外収縮」と言います。


●心房細動を招く危険もある

一般的に、期外収縮は生活習慣の乱れで起こります。そのため、期外収縮は、心臓に異常のない健康な人にも時々現れます。 つまり、期外収縮が認められても、基本的に治療を受ける必要はありません。 しかし、期外収縮により脈とびや動悸を経験した人であれば、おわかりでしょう。治療が必要ないとはいえ、 突然期外収縮が起こると、誰でも大きな不安を感じるものです。 さらに最近、デンマークの研究グループが期外収縮について興味深い調査結果を発表しました。 この研究では、心臓に疾患のない55~75歳の687人を対象に心電図検査を行い、約6年にわたって健康状態を調査しました。 その結果、過剰な上室性期外収縮(1時間に30回以上)の人は、そうでない人に比べて、心房細動に移行して 脳梗塞あるいは死亡に至る危険が1.64倍も大きいとわかったのです。 つまり、期外収縮は治療の必要がないとはいえ、何もせず放置したら、命に関わる心房細動へと移行する可能性も 十分考えられるのです。


●ストレスを矯正消去する腹式呼吸をやろう

先ほど、期外収縮は不規則な生活習慣が原因で起こると説明しました。 具体的には、緊張やストレス、喫煙、お酒やコーヒーの飲み過ぎ、睡眠不足、過労などが挙げられます。 そうしたことが自律神経の働きを乱し、心臓の拍動に悪影響を及ぼすのです。 自律神経には、体を活発に働かせる交感神経と、体を休ませる副交感神経があります。 どちらも心臓の拍動と密接に関わり、交感神経が優位になれば拍動が速くなり、副交感神経が優位になれば反対に遅くなります。 交感神経と副交感神経が適切なタイミングで切り替わることで、体の働きは正常に保たれています。 ところが、このバランスが崩れて交感神経が常に優位になると、心房や心室で電気信号が発生して不整脈が起こるのです。 ですから、期外収縮を防ぐためには、規則正しい生活が肝心です。過労やストレスを解消するとともに、喫煙をしたり、 お酒やコーヒーを控えたり、十分に睡眠を取ったりするようにしましょう。 そして問題は、如何にしてストレスを解消するかです。ポイントは日々蓄積するストレスをこまめに軽減するよりも、 今あるストレスを一気に強制撤去することです。その最良の方法として、腹式の深呼吸をお勧めします。 やり方は非常に簡単です。皆さんもぜひ試してみてください。

◆腹式呼吸のやり方

  • 「1、2、3、4」とゆっくり数えながら、鼻から息を吸う。この時、お腹を膨らませるよう意識する。
  • 「5、6、7、8」とゆっくり数えながら、口から息を吐く。

■背筋伸ばし

ストレスの強制撤去には脳を快感で満たす「背筋伸ばし」が有効で、期外収縮の発症を防ぐ効果絶大。


●日常の中でストレスを解消するのは困難

鼓動が急に乱れたり、脈が飛んだりした経験のある人は多いのではないでしょうか。 こうした症状は不整脈によって起こりますが、中でも多いのが「期外収縮」です。 期外収縮は通常、治療の対象とはみなされず、大抵は期外収縮を招く原因となる乱れた生活習慣を改善するように指導されます。 具体的には、アルコールやカフェインの摂り過ぎを控えたり、睡眠不足やストレスを解消したりします。 実際に、そのような生活習慣を心がければ、期外収縮による鼓動の乱れなどの頻度はかなり減ると言われています。 しかし、ストレス社会といわれる現代において、日常生活でストレスをためないようにするのは大変難しいことです。 つまり、期外収縮の発症を防ぐには、ストレスをどのようにして消去するのかが大切になてくると考えられます。


●ストレス解消のカギは筋肉を緩めること

ある施設では「バランスセラピー」といって、独自に開発したストレス軽減法を指導しています。 このバランスセラピーで最も重要視しているのは、自律神経を整えることです。 まずは、ストレスと自律神経のかかわりについて説明しましょう。
私たちがストレスを受けたとき、自律神経やある種の内分泌物(ホルモン)の機能を統合する「脳幹」 が感知します。すると、内臓の働きが活発になったり、体に必要なホルモンが分泌されたりするようになり、 免疫力も高まります。ただし、これは適度なストレスを受けた場合です。ストレスが過剰になると、脳幹への刺激が強すぎるため、 脳に疲れがたまります。その結果、自律神経の働きや内分泌機能に乱れが生じるのです。

ただし、これは適度なストレスを受けた場合です。ストレスが過剰になると、脳幹への刺激が強すぎるため、 脳に疲れがたまります。その結果、自律神経の働きや内分泌機能に乱れが生じるのです。 特に、過度なストレスを受けると、自律神経のうち体を活動的にする交感神経が高ぶってしまいます。 自律神経は心拍数を調節する要。したがって、交感神経の優位が続くと鼓動が速くなり、期外収縮などの不整脈を 招きやすくなるとされます。 こうしたことからも、期外収縮の発症を防ぐには、ストレスを取り除き、脳の疲れを解消することが何より大切だということが わかります。では、脳の疲れを取って、ストレスを退けるにはどうすればいいのでしょうか。 実は、最も簡単ですぐに効果が現れる方法は、皆さんは意外に思われるかもしれませんが、筋肉を緩めることなのです。 心身をリラックスさせる役割は、自律神経の一つである副交感神経が担っています。 筋肉の緊張をほぐすと、副交感神経の働きが活発になり、それが疲れた脳に心地よさを与え、ストレスが解消されると 考えられています。そこで、体操で筋肉の緊張をほぐし脳の疲れを取る「ホメオストレッチ」という リラックス法がお勧めです。ホメオストレッチは、ストレス解消の効果が大きく、不整脈はもちろん慢性疲労や鬱の改善にも 役立つはずです。ホメオストレッチの中でも、自律神経の乱れを正して副交感神経を優位にし、不整脈を改善する最良の方法として、 『背筋伸ばし』をお勧めします。これは、うつぶせに寝た状態から両腕を立てて背中をそらす運動法です。


●背筋伸ばしで期外収縮が続々改善

背筋伸ばしを行う目的は、背中の筋肉の緊張を緩めることに尽きます。 筋肉には、主に日常の動作をするときや姿勢を保つときに使われる赤筋と、主に大きな力を出す時に使われる白筋があります。 このうち、脳とより密接に関わっているのは赤筋の方です。赤筋は姿勢を保持するために、脳と頻繁に情報をやり取りしています。 つまり、赤筋を使えば、それだけで脳が刺激が刺激されると同時に快感も与えられ、ストレスや疲れが解消しやすくなります。 そして、人間の体の中で赤筋が最も密集しているのは、背中の筋肉の一つで直立歩行のときに姿勢を保つために使われる 脊柱起立筋なのです。背筋伸ばしで脊柱起立筋の緊張をほぐせば、たちまち交感神経が優位になって心身がリラックスするでしょう。 コツとしては、目を軽く閉じて体の余計な力を抜き、心を落ち着けながら一つずつの動作をゆっくり行うことです。 全ての動作を行うのに3分程度しかかりません。行うタイミングは、就寝前がいいでしょう。 寝つきが悪い人が布団の中で背筋伸ばしをやれば、寝付きが良くなって朝まで熟睡できます。 背筋伸ばしは即効性が高く、早ければ2~3回でストレスが解消して、リラックス効果を実感できるでしょう。 毎日行えば、次第に鼓動が安定するので、期外収縮の改善が期待できます。 ぜひ、背筋伸ばしを毎日の習慣にして心身のバランスを整え、鼓動を正常に保つことに役立ててください。

◆背筋伸ばしのやり方

①仰向けで背伸びをする
仰向けに寝て、二つ折りにしたクッションを腰の下に置く。
両手・両足をまっすぐに伸ばし、約60秒間背伸びをする。

②背中をそらす
1.床に腹ばいになる。
頭を前に向けた状態で、うつぶせになる。腕立て伏せをするときのように両手を胸の外側に置く。
2.背中をそらす。
息を吸いながら状態を起こし、顎を上げて5秒間保つ。終わったら息を吐きながら、ゆっくり元に戻る。
①②で1セットとし、1回に2~3セット行う。

③背中を伸ばす
正座姿勢から息を吐きながら、前に手を伸ばしていき、背中が伸びきったところで10秒間保つ。 そして、息を吸いながら元に戻る。
ここまでを1セットとし、1回に3セット行う。