心房細動の改善に『若返りヨガ』

心房細動の改善には、リラックス神経を刺激し脈を安定させる『ヨガ』が最高で、 試験では発症が半減しています。 数あるヨガのポーズの中でも、心房細動の改善に優れた効果を発揮するのは『若返りヨガ』です。 心臓若返りヨガは医師も治療で行い、心房細動の発症が激減!動悸や息苦しさも発作の不安も一掃します。 心臓若返りヨガは体が硬い人でも体力が衰えた人でも楽にでき、就寝前に3動作行うだけです。


■心房細動とヨガ

●未然に防ぐことが重要

不整脈の中でも、特に50歳以上の中高年に増えているタイプが『心房細動』です。 心房細動は、心臓の心房に伝わる電気信号が乱れ、拍動が不規則になる病気です。 一般的に、健康な人の心拍数は毎分60~80回が目安となりますが、心房細動が起こると、多くの場合、 心拍数が毎分100~150回と速くなります。心房細動を招くと、心臓の拍動のリズムが速くなるため、胸がドキドキしたり、 息切れが起こったり、胸痛や胸の圧迫感などの症状が現れます。 そして、心房細動が慢性的に続くと、脳梗塞や心不全を引き起こす危険が大きくなります。 そのため、心房細動の症状を見逃さず、定期的に検査を受けて適切な治療を受けることが肝心です。 また、普段から心臓の拍動のリズムを正常にして、心房細動の発症を未然に防ぐことが重要になります。 過度のストレスや過労、睡眠不足は拍動を速くし、心臓に負担をかける原因になるため、心房細動の人は特に注意する必要があります。


●拍動を正常にするヨガの腹式呼吸

運動療法の一つとして勧められるものに『ヨガ』があります。 ヨガは、日頃体を動かすことが少ない人でもできるし、緊張した筋肉を緩めたり、血流をスムーズにしたりする効果があります。 さらに、ストレスや過労、睡眠不足の改善にも役立つため、心房細動の人にもうってつけの運動療法といえます。
では、ヨガはなぜ心房細動の改善に効果を発揮するのでしょうか。その理由の第一は、ヨガは自律神経の乱れを正す効果が あるからです。自律神経には、心身を緊張させる交感神経と、心身をリラックスさせる副交感神経の2種類があります。 これら2種類の自律神経がバランスよく働くことによって、私たちの健康は保たれています。 しかし、過度のストレスや過労が続くと、交感神経が優位に働くようになり、自律神経のバランスが崩れ、 さまざまな病気や不調を招く原因になります。心房細動の場合も例外ではありません。 心臓の働きにも、自律神経が大きく関わっています。交感神経が過剰に働くと拍動が速くなるし、 心房細動の症状を悪化させる原因になると考えられます。反対に、副交感神経が優位に働くと体がリラックスして、 心房細動の発症を防ぐのに役立ちます。ヨガの大きなと特長は、呼吸の仕方を重要視していることです。 ヨガは、腹式呼吸を基本としていて、息を吸うときよりも吐くときに、長くゆっくりと呼吸します。 腹式呼吸を行うと、副交感神経が優位に働いて心身がリラックスします。 そのため、早くなった拍動のリズムが正常になり、心房細動の予防にも役立つのです。


【ヨガとは?】
ヨガは、古代インドで約5000年前に多条下修行法の一種で、心・体・呼吸の3つを調和し、 心身ともに健康に過ごすことを目的としている。やり方も様々で、初めて行う人でもできる簡単なポーズも数多くある。
【ヨガの一般的な効果】
・姿勢が正される
・体の柔軟性が高まり、筋肉が強まる。
・内臓が刺激され、体内の毒素が抜かれていく。
・心身ともにリラックスでき、ストレスや疲れが取れる。

●ヨガを続けたことで不安感や鬱も解消

心房細動に対するヨガの効果を調べた試験もあります。米国のカンザス大学病院では、ヨガの経験のない49人を対象に、 最初の3ヵ月間は自分の好きな運動を行い、そして後半の3ヵ月間はプロの指導の下、45分間のヨガを週に3回行ってもらい、 自宅でもヨガを続けてもらいました。その結果、好きな運動を続けた最初の3ヶ月間に比べて、ヨガを続けた後半の3ヵ月間は、 心房細動が発症する回数が約半分になったのです。 また、心房細動の症状が繰り返し起こると不安感が増し、気分が落ち込んで鬱になる人が少なくないことが指摘されています。 この試験を行った結果、ヨガをすることで心房細動の症状に対する不安感や鬱も回復したと報告されています。

このようにヨガを行うと、心房細動が予防できるばかりか、患者さんの生活の質も向上する効果があることが確認されたのです。


●背骨が歪むと心臓が圧迫される

心房細動の発症を防ぐには、ヨガがとても効果的です。その理由の第1は、前述したとおり、自律神経の乱れを正すからです。 そして、2つ目の大きな理由としては、背骨の歪みを正す効果があると考えられています。 背骨は、頚椎・胸椎によって構成されていて、背骨全体は本来、真横から見ると、ゆるやかなS字カーブを描いています。 ところが、悪い姿勢の代表ともいえる、前かがみの猫背が習慣になると、背骨本来のS字状のカーブが崩れ。 背骨全体が歪んでしまうのです。また、車の運転やデスクワークなどによって、同じ姿勢をとり続けることも、 背骨周りの筋肉を緊張させるため、背骨の歪みを引き起こす原因になります。 背骨全体が歪んでいるということは、もちろん、胸椎が歪んでいることになります。 胸椎が歪めば、心臓が圧迫されて負担が増し、心臓の拍動が乱れる原因になると考えられるため、 結果的に心房細動が起こりやすくなるのです。したがって、背骨の歪みを正すことは、心房細動の改善に役立つわけです。 ここで紹介するヨガにはその大きな効果があります。 ヨガには、他の運動と違って、普段の生活で使うことの少ない背骨周りの筋肉を動かして、筋肉の緊張をほぐす効果があります。 そして、この背骨周りの筋肉をほぐす効果によって、歪んだ背骨が本来のS字状のカーブに正され、 拍動の乱れを防ぐのに役立つと考えられるのです。


●全身を効率よく動かして血流を動かす

ヨガで心房細動が防げる理由は、もう1つあります。それは、全身の血流がよくなるためです。 血管を流れる血液には、心臓から全身へと送り出される動脈血と全身の細胞から心臓へと戻ってくる静脈血の2種類があります。 心臓から送り出された動脈血は、全身の毛細血管に行き渡り、細胞や組織に新鮮な酸素と栄養を送り続けます。 そして、二酸化炭素や老廃物などを受け取って静脈血となり、心臓へ戻ってくるわけです。 このように、心臓は日々、全身の隅々に新鮮な血液を送り届けています。 ところが、中高年になると、高血圧や高血糖・動脈硬化など、さまざまな原因によって全身の血流が悪くなりがち。 それでも心臓は、全身の血流を円滑にしようと必死に拍動を繰り返します。 そうした状態が続いているうちに、心臓に負担がかかって、心臓の働きが衰えてしまうのです。 心臓の働きが衰えるというのは、具体的には、全身へ動脈血を送り出す心臓のポンプ作用、いわば拍動が乱れるということ。 これが、結果的には、心房細動を始めとする不整脈を引き起こす原因になると、考えられるのです。 そのため、心房細動を改善するには、全身の血流をよくすることも重要になるわけです。 ヨガは、その効果が絶大です。 ヨガは、とてもゆったりとした動きでありながら、体の隅々の筋肉を使う全身運動です。 ヨガを行って、全身を効率よく動かせば、おのずと血流が促されて心臓への負担が減ると考えられるため、 心房細動の予防に役立つのです。


■心臓若返りヨガ

●心臓に負担がかからず、安心して取り組める

『心臓若返りヨガ』は、心房細動に悩む患者さんを始め、50歳以上の中高年の人にぜひ試してもらいたいヨガです。 心臓若返りヨガは、一般的なヨガのポーズと違って難しくなく、誰でも取り組めます。 皆さんは、ヨガと聞くと、体を複雑に曲げたり、手足を絡ませたりするポーズを想像するかもしれません。 しかし、心臓若返りヨガのポーズは、「体を動かせる範囲で行う」「仰向けに寝たまま行う」 「クッションや座布団などの補助具を使う」といった簡単な動作で行えるため、体が硬い人や体力が衰えた人でも、 楽にできるはずです。 心房細動の人は、心臓に負担をかける不安感が付きまとい、運動することに戸惑いを感じる場合が少なくありません。 その点、心臓若返りヨガのポーズは、心臓に負担をかけずに行えるため、安心して取り組めます。 しかも、心臓若返りヨガは「自律神経の乱れを正す」「背骨の歪みを正す」「全身の血流を促す」という大きな特徴があるため、 心房細動の人に最適な運動療法といえるのです。


●滞りやすい指先の血流も促す

心臓若返りヨガは、「ネコのポーズ」「弓のポーズ」「コンパスのポーズ」の3種類のポーズを行います。 具体的なやり方は下記を参照していただき、ここではまず、3種類のポーズの効果を説明しましょう。 心臓若返りヨガには、自律神経の乱れを正し、早くなった拍動を遅くする効果があります。 そして、背骨周りを中心に全身の関節を動かすことで、背骨の歪みを正し、全身の血流を促す効果もあります。 例えば、猫のポーズでは、肩や腕の筋肉を動かして筋肉の緊張を緩め、背中をそらす動作を行って背骨の歪みを正します。 弓のポーズでも、体を後ろに反らして背骨に刺激を与え、背中の筋肉の緊張を緩めて背骨の歪みを正します。 なお、猫のポーズと弓のポーズをとるときに手の指を上にそらすのは、滞りやすい指先の血流を促す目的があるからです。 コンパスのポーズでは、仰向けに寝た姿勢から両足を床と垂直に持ち上げ、つま先から足の付け根(股関節)まで 足全体を内側と外側にひねります。こうした動作を行うことによって、下半身にたまった静脈血が上半身に戻りやすくなるのです。


●1ミリでも先に体を伸ばそう

次に、心臓若返りヨガを行うときの注意点を説明しましょう。

◆動作の基本

3種類のどのポーズにもいえるのは、動くときは、息を吐きながらゆっくりと体を伸ばし、軽い緊張を感じたら動作を止めること。 そして、その姿勢を維持したまま体の余分な力を抜いて深呼吸を行い、息を吸いながらゆっくりと元の姿勢に戻ります。 体を伸ばすときは、1ミリでも先に伸ばすことを意識するのが重要です。ただし、痛みを感じるほど力を込めて伸ばしたり、 反動をつけて伸ばしたりすることは禁物です。無理に体を伸ばすと筋肉が収縮し、交感神経が刺激されて拍動が速くなるため、 逆効果です。ゆっくりとした動作でリラックスしながら体を伸ばしてください。

◆呼吸の基本

鼻でゆっくりと息を吸い、鼻または口でゆっくりと息を吐きます。鼻には、空気を洗浄したり加湿したりする働きがあります。 口で息を吸うと殺菌作用のある唾液が減ってしまい、口腔内に細菌が繁殖しやすくなるのです。 また、息を吸うときよりも吐くときに、長くゆっくりと呼吸することを意識してください。 息を吐くには、腹式呼吸(息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹をへこませる呼吸法)が適しています。 腹式呼吸を行うと、内臓の働きが活性化されたり、全身の血流が促されたりします。


心臓若返りヨガを行う時間帯は、夜が最適です。ただし、食後の満腹時は避け、就寝する1時間ほど前に行うといいでしょう。

【猫のポーズ】
  • ①両手を床につけて四つん這いになる。
  • ②息を吐きながら、左手のひらをゆっくりと床に滑らせ、顔と左肩を床に近づけていく。 最終的に、左手は真横に伸ばす。左手は、伸ばしきったら指をそらせて、その状態で呼吸を2回行う。 その後、息を吸いながら①の姿勢に戻る。これを1セットとし、左右を入れ替えて交互に3セットずつ行う。
【弓のポーズ】
  • ①うつぶせに寝て右手で右足の甲か足首をつかむ。左手は前方に、左足は自然に伸ばしておく。
  • ②息を吐きながら、右足をつかんだまま右手を上方に上げ、顔と左手と左足を床から浮かせて状態をそらす。 この姿勢のまま呼吸を2回行い、息を吸いながら①の姿勢に戻る。 これを1セットとし、左右を入れ替えて交互に2セットずつ行う。
【コンパスのポーズ】
  • ①クッションや二つ折りにした座布団をお尻の下に当てて、仰向けに寝る。
  • ②息を吸いながら、膝を伸ばしたままで、両足をゆっくりと床と垂直に上げる。
  • ③息を吐きながら、足の付け根(股関節)から足先まで足全体をゆっくりと内側にねじる。 ねじりきったら、息を吸いながらねじった足を元に戻す。
  • ④息を吐きながら、足の付け根から足先まで足全体をゆっくりと外側にねじる。 ねじり行ったら、息を吸いながらねじった足を元に戻し、両足を下す。
    (コンパスのポーズは1回だけでいい)