関節リウマチの手術

近年、関節リウマチの手術が進歩し、関節の機能だけでなく見た目もよくなるようになってきました。 関節リウマチの手術のメリットは、主な症状である「痛み」「関節の動き、機能」「見た目(変形の程度)」の3点を同時に改善できることです。 最近は、足首、足指、手首、手指などの小さい関節の手術が注目されています。 以前は再発が多く、あまり勧められませんでしたが、薬で手術後の再発のコントロールや防止も可能になったため、 積極的に手術が検討されるようになり、手足の指など小さい関節の手術を受ける人が増えてきています。


■関節リウマチの手術①足首・足指の手術

●足首の手術

足首(足関節)が変形すると、着地が不安定になるため、痛みが出たり、歩行が困難になったりします。 手術法には足関節固定術人口足関節置換術があります。 足関節固定術では、かかとの骨から足首、すねまでを金属のスクリューで固定します。 健康な状態に比べると関節を動かせる範囲は狭くなるものの、変形が治るので痛みがなくなり、見た目も改善します。 人口足関節置換術では、足首の骨の痛んだ部分を削って、人工関節に置き換えます。 通常、3~4週間程度の入院が必要になりますが、術後は健康な時と同程度に足関節を動かせる患者さんもいます。

●足指の手術

足指が変形すると、それが親指の付け根の場合は外反母趾になりやすく、それ以外の指だと脱臼しやすくなります。 従来は、損傷した関節を切り取る関節切除術が主流でしたが、最近では関節を切らずに残す関節温存術を行うケースが増えてきています。 足の甲と爪先の間にある中足骨の一部を切除し、足指の位置を整え、針金などで一時的に固定します。 つま先立ちの可能になりますが、関節の変形が進んでいると手術はできません。


■関節リウマチの手術②手首・手指の手術

手は、関節リウマチの症状が最も出やすい部位です。特に指の変形が目立ちますが、実はその症状は手首から始まっています。 手首から指に向かって、伸筋腱という手首や指を反り返らせる腱が走っています。 尺骨という小指側の骨が変形し手の甲側に脱臼すると、尺骨と伸筋腱がすれて腱が切れ、指が伸ばせなくなるのです。 腱は1本切れると次々と他の腱が切れる危険性が高くなるため、伸筋腱が1本でも切れたら、早めに手術を受けることをお勧めします。 手首の腱が断裂した場合には、伸筋腱の再建術が行われます。再発を防ぐため、同時に、尺骨の変形を治す手術も行われます。 手術の変形が進んでいる場合には、人工関節置換術が行われます。 人口指関節にはシリコン製で弾力性があるものなどもあり、指の曲げ伸ばしもしやすくなり、見た目だけでなく痛みも改善します。

●薬物療法と併せて積極的に検討を

手術後も薬物療法を続ける必要はあるものの、手術は生活の質を大きく改善します。 ただし、リウマチが進行して関節の変形が進むと、手術が難しくなります。 適切な時期を逃さないように、手術を希望する場合は、担当医に積極的に相談しましょう。