慢性疲労症候群(CFS)の症状

慢性疲労症候群では、それまで健康だった人が、肝臓病や甲状腺の病気、更年期障害、 癌などの病気がないのに、急に激しい疲労状態に陥り、

「体を動かせず、日常生活が送れないほどの疲労感・脱力感」
「めまい、微熱、頭痛、のどの痛み、リンパ節の腫れ、筋肉痛、関節痛」
「思考力・集中力の低下、不眠、過眠」
「気分の落ち込み」

などの身体症状や精神症状が6ヶ月以上続く場合、通常の慢性疲労と区別して、 「慢性疲労症候群(CFS)」と呼びます。 また、診察時には「微熱、首のリンパ節の腫れ」「筋力低下」なども認められます。

慢性疲労症候群は、疲労や思考力・集中力の低下など同じような症状があることから、 「鬱病」と間違われる場合があります。しかし一般に、鬱病の症状は朝に多く、 午後になると軽減される傾向があるのに対し、慢性疲労症候群の症状は、朝には比較的軽く、 午後になると徐々に強まるという違いがあります。 ほかに、血液中のホルモンの濃度に差が認められるという違いもあります。


●慢性疲労症候群(CFS)の起こり方

私たちの健康は、体内で神経系、免疫系、内分泌系の3つのネットワークが正常に働くことで維持され、 これらが互いに作用し合って、バランスを保ちながら働いています。 慢性疲労症候群患者では、精神的なストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れることがあり、 それに連動して免疫系、内分泌系のバランスも崩れます。 その影響が脳にも及び、脳の機能にさまざまな異常が起こって、 激しい疲労感や不定愁訴が引き起こされると考えられています。

▼血流量の低下
脳の働きの異常が「ポジトロンCT検査」で確認されています。ポジトロンCT検査で脳の血流量を調べると、 慢性疲労症候群患者の脳では、自律神経の中枢がある部位など、いくつかの部位で血流量が低下し、 働きが低下していることがわかりました。自律神経の中枢の働きが低下すると、 「立ちくらみ」「ふらつき」「発汗異常」などの自律神経失調症症状が現れます。

▼痛覚の異常
脳の痛みを感じる部位では、神経伝達物質の量に異常が生じており、痛覚が過敏になっていることも わかっています。

▼自律神経の異常
自律神経には交感神経と副交感神経があり、心身が緊張すると交感神経が優位になります。 心電図による「心拍変動」を測定して、心身の緊張の度合いを調べる検査では、 睡眠中も交感神経の緊張が続いていることがわかりました。 そのために、「寝つきが悪い、途中で目が覚める」といった症状が起こると考えられます。