心身症の治療

心身症の治療には内科的治療、薬物療法、「カウンセリング」「バイオフィードバック療法」 「交流分析」「認知療法」などの心理療法があります。


■心身症の治療

心身症の治療には次のようなものがあります。

▼内科的治療
体に起こっている病気や症状そのものの治療が行われます。例えば、過敏性腸症候群で 下痢がひどい場合は、下痢止めの薬を使ったり、糖尿病の場合には、食事を改善したり、 薬で血糖値を下げたりします。

▼薬物療法
「不安」や「気分の落ち込み」などが認められる場合など、抗不安薬や抗うつ薬が 使われることがあります。

▼ストレスの軽減
心身症では、できるだけリラックスすることが重要で、「筋弛緩法」「自律訓練法」 などのリラックス法の指導が行われることがあります。 筋弛緩法は、体を緊張させた後、力を抜いてリラックスする方法です。 自律訓練法は、心の中で”両手両足が思い”などと唱えながら、リラックスした状態を 意識してつくっていく方法です。その他、心身の緊張をほぐすためには、適度な運動、 ヨガ、音楽療法なども行われています。

▼心理療法
「カウンセリング」「バイオフィードバック療法」「交流分析」「認知療法」 などの心理療法があります。

●心身症の心理療法「認知療法」

認知療法』は、「うつ病」などの治療に用いられる心理療法の一つです。 海外の調査では、認知療法単独で、うつ病患者の60~70%に何らかの効果が見られたという データがあります。「認知」とは、ものの考え方や捉え方のことです。 認知にゆがみがあると、何事も否定的・悲観的に捉えて、そこから生まれるマイナス思考が 認知の歪みを大きくして、さらに否定的・悲観的携行を増すという悪循環に陥ります。 「認知療法」とは、この流れを断ち切るために「自分の考え方の癖を知り、偏った考え方を修正して、 解決策を見つける」というものです。
「認知療法」には、「コラム法」「セルフモニタリング法」「イメージトレーニング法」 「ロールプレイ法」「暴露療法」など、さまざまな方法があります。

▼コラム法
欄をつくり、ストレスを感じたときの出来事やそのときの感情、最初に浮かんだ考えとその根拠、 合理的な考え方とそのときの感情などを書き出す。

▼セルフモニタリング法
自分の行動、認知、気分などを自己観察し、記録、評価することによって、 自分の状態を客観的な事実として理解しようとする。

▼イメージトレーニング法
理想的な自分をイメージし、その考え方や行動のイメージを繰り返し思い描き、 実践を目指す。

▼ロールプレイ法
他者を演じることによって、自分の心の動きや行動を外から客観的に観察し、 別の観点から物事を捉えられるようにする。

▼暴露療法
否定的な感情を起こしやすい刺激に、あえて自分をさらし、その克服を図る。

◆認知療法「コラム法」

「コラム法」は、認知療法の一つです。次のような欄(コラム)をノートにつくっておき、 ストレスを感じたときに書き込みます。自分の考え方の癖を知り、現実的な考え方を身につけるためのものです。

▼日時・出来事
▼感情とその強さ
そのときに感じた「無能感」「焦り」「落ち込み」「不安」「怒り」「悲しみ」などの感情の強さを100点中何点と点数をつけます。

▼自動思考
そのときにまず浮かんだ考えやイメージ。

▼根拠
そのように(自動思考)考えた根拠。

▼反論
別の考え方はないか、自分で自分に反論してみます。

▼合理的思考
反論した結果浮かんだ別の考え。

▼結果とその強さ
合理的な考え方をしたときの、新たな感情とその強さ。

なかでも特に重要なのは、物事に対して自然に浮かんでくる「自動思考」です。 何かトラブルなどがあったときに、根拠がないのにもかかわらず「自分のせいだ」「~すべきだ」 と自分を問い詰めることがありますが、このような考え方の癖は、否定的な自動思考だといえます。 否定的な自動思考は、”自分はだめな人間だ””トラブルは解決できるはずがない” ”いつもこうだ””失敗するに違いない”などという極端な物の受け止め方につながり、 マイナス思考はさらに強くなります。また、何事にも否定的でいると、実際に失敗しやすくなることも考えられます。 このような自分の考え方の癖を知り、別の考え方があることがわかれば、気分や感情など 情緒が安定して、行動はより現実的なものに修正されます。このような修正を体験することにより、考え方の癖を変えることを目指します。


●心身症の心理療法「バイオフィードバック療法」

外界からの刺激に対する反応を患者自身が自覚するための方法の1つです。 例えば、心拍数、血圧、筋肉の収縮の程度など、さまざまな体の反応を測定し、 そのデータを患者にわかりやすい形で示します。患者はどんなときにどんなデータが測定されるか を知ることで、体の状態をコントロールする方法の習得を目的とします。


●心身症の心理療法「交流分析」

心の状態と行動パターンを分析することで、自分の性格の”ひずみ”を知り、 円満な人間関係を築けるようにする方法の一つです。 最初に、「親」「大人」「子供」など、心の要因について、質問形式のテスト(エコグラム) を行います。


●心身症の心理療法「薬物療法」

心身症の薬物療法では、抗不安薬が使われます。 抗不安薬』とは、精神的な不安症状や不安に伴う身体症状を改善する薬です。 「不安障害」(いわゆる神経症)をはじめ、不安のかかわりが深い「心身症」、 不安を伴うからだの病気などの治療で広く使われています。

【関連項目】:『抗不安薬』