■内視鏡治療の治療後
病理検査で方針を決める。切除したあとの経過観察が大切
●「病理検査」とは
治療後は、癌の取り残しがないかどうかを詳しく調べる必要があります。
そのために行なわれるのが「病理検査」です。
切除した組織は、2mm間隔で細かく切って病理検査用の標本を作ります。
それを顕微鏡で丹念に観察し、切除した組織の端に癌がないかどうかを調べます。
もし、組織の端に癌が見つかれば、取り残しがあることを意味します。
そのほか、癌の大きさや深さが予想通りだったかどうか、癌が血管やリンパ管に及んでいないかも詳細に調べます。
病理検査の結果、癌の取り残しがると認められた場合は、再度内視鏡治療を行なうか、
手術を行なうかを決めなければなりません。
●経過観察をきちんと行なう
取り残しがなくても、いつまた新たな胃癌が発生するかわかりません。 内視鏡治療を受けた人を検査すると、毎年その約18%に新たな胃癌が発見されるという報告もあります。 早期に発見できれば、再度内視鏡治療を選択することもできるため、治療後も定期的に検査を受けましょう。 内視鏡治療後は、すぐもとの生活に戻れますし、食事を摂ることができます。 ただし、胃癌をとった部位には潰瘍ができ、それが治るのに約1ヶ月間かかります。 手術後1ヶ月程度は、お酒やコーヒーは避けましょう。 たばこは、癌の発生を促進するため、禁煙することが大切です。
●内視鏡治療のあとは、1年に1回検査を受ける
胃癌が発見された時点で、すでに目に見えない癌の”芽”のようなものが胃の中に散らばっている場合があります。 そのため、胃癌を一度発症した人は、治療後も新たな癌ができやすいのです。 通常、内視鏡検査による胃癌発見率は0.05~1%です。一方、内視鏡治療を受けた人では、 毎年約1.8%に胃癌が見つかるというのは、決して低い数字ではありません。 このことからも、治療後に新たな胃癌を早期発見するためには、 1年に1回、内視鏡検査を受けることが大切です。