■膝の痛み

膝は大きな負担がかかる関節。痛みが現れる人は多い

日本人で膝の痛みを持つ人は、少なくとも1000万人いるといわれます。 症状がなくても、エックス線撮影によって膝に変形が見られる潜在的な患者さんを含めると、3000万人に上ると推定されます。 これほど多くの人が膝を痛めてしまうのは、膝は体重を支える重要な関節であり、 非常に大きな負荷や衝撃が加わる関節の一つだからです。

人がが立っているとき、片方の膝にかかる負荷は、体重の約1.1倍にも及びます。 上体の重さを支えるだけでなく、体が倒れないよう、膝の周りの筋肉が上下に引っ張り合うため、その負荷も加わります。 歩くときは、膝への負担はさらに大きくなり、片方の膝に、体重の約2.6倍もの負担がかかります。 特に大きな負荷がかかるのは、階段を降りるときで、先に下したほうの膝には体重の約3.5倍もの力がかかります。 これはゆっくりと階段を下りた場合であり、階段を速く下りると、膝はさらに大きな衝撃を受けます。 これほどの負荷がかかってもすぐに膝が傷まないのは、膝関節に衝撃を和らげる関節軟骨半月板があるからです。


●膝に加わる負荷の大きさ

最近の海外での研究により、膝に加わる負荷について詳しくわかってきました。 人が立っているとき、片方の膝にかかる負荷は、体重の約1.1倍にも及びます。 単に上体の重さを支えるだけなら、片脚ににかかる負荷は体重の半分で済みそうです。 しかし実際には、体が倒れないよう、膝の周りの筋肉が上下に引っ張り合っているため、その負荷も加わるのです。 歩くときは、膝への負担はさらに大きくなります。片方の膝に、体重の約2.6倍もの負担がかかります。 特に大きな負担がかかるのは、階段を下りるときです。このとき、先に下ろした方の膝には体重の約3.5倍もの力がかかります。 体重が60kgの人なら、片方の膝にかかる負荷は約210kgになります。 これはゆっくりと階段を下りた場合のデータであり、階段を速く下りたり、走ったり、ジャンプしたりすると、 膝はさらに大きな衝撃を受けます。

●大きな負荷を和らげる構造がある

これほどの負荷がかかってもすぐに膝が傷まないのは、膝関節に衝撃を和らげる構造があるからです。 大腿骨と脛骨の先端には、 「プロテオグリカン」というたんぱく質とコラーゲン線維からできた「関節軟骨」があり、 このおかげで衝撃が和らげられています。さらに膝関節には半月板という、 コラーゲン線維からできた得旬衝撃吸収材があります。この2つが膝関節を守っているのです。