■膝の痛みの原因

加齢や肥満のほか、運動不足も関わっている

膝の痛みを訴える患者さんの8~9割を占めているのが、膝関節の半月板が傷み、関節軟骨が磨り減ることにより生じる 「変形性膝関節症」という病気です。 その大きな原因は、加齢「肥満」です。 年を取ると、日々、膝にかかってきた負荷がそれだけ積み重なり、半月板が傷んだり関節軟骨が磨り減りやすくなります。 そのため、高齢化社会になればなるほど、この病気が増えていくと予想されます。 また、肥満があると、膝にかかる負荷をより大きくしてしまいます。例えば、体重が3kg増えると、 階段の下りで片方の膝にかかる負荷は10kg増にもなります。実際、肥満があると、変形性膝関節症を発症する危険性が高まることは、 はっきりしています。


●運動不足がさまざまな問題を招く

変形性膝関節症の症状を悪化させる要因に、運動不足があります。運動をしないでいると、膝やその周囲に 次のような問題が生じます。

▼脚の筋力低下
例えば、登山やランニングなどで足が疲れてくると、膝が諤々と震えてきます。これは、足の筋力が低下した状態です。 着地した時の衝撃は、筋肉が働くことで和らげているので、このように筋力が低下すると、その衝撃を十分に和らげられず、 痛みを生じてしまいます。

▼関節軟骨に悪影響
関節軟骨には、血管が走っていません。膝関節を包む「関節包」の中の空間には、「関節液」 というドロッとした液体が少量含まれています。関節軟骨の細胞は、この関節液を介して栄養を得ています。 運動不足で膝をあまり動かさないでいると、関節液がよく循環せず、関節軟骨に栄養が行き渡らなくなって 「栄養不足」になります。

▼関節が硬くなる
運動不足で膝をあまり動かさないと、やがて膝関節を動かせる範囲がどんどん狭くなってしまいます。 その結果、正座ができなくなったいり、足をまっすぐに伸ばせなくなります。

このように、運動不足は膝に悪影響を与えますが、一方で、運動のし過ぎで「スポーツ外傷」と呼ばれる怪我をして、 痛みが出ることもあります。半月板を傷める「半月板損傷」や、膝関節の靭帯を傷める「靭帯損傷」がその代表です。