不整脈で倒れたとき

突然死を招く危険な不整脈が起こった場合、その場での救命措置がその後の回復の度合いを左右します。 倒れた人を見たら救命措置ができるように心肺蘇生AEDの使用方法を覚えておきましょう。


■心室細動

救急車が来るまでの救命措置がその後の回復の度合いを左右する

「不整脈」の中でも最も危険な「心室細動」が起きると、一瞬の間に意識を失います。 そして、素早い対処が行なわれないと、死に至ります。 心室細動が起きて1分経過するごとに、退院できる確率が約10%づつ低下するといわれています。 現在、日本では110番通報から救急車が到着するまでに平均で約6分かかっています。 つまり、心室細動が起きて救急隊がかけつけるまで放置されると、約6割の人が死亡することになります。 そのため、そばにいる人がいかに早く救命措置を行なうかが非常に大切です。 この救命措置が心室細動で倒れた人の回復の度合いを左右するのです。



■心室細動の救命措置

「心肺蘇生」と「AED」が救命措置の2本柱

「心室細動」の救命措置の2本柱は「心肺蘇生」「AED」です。 「心肺蘇生」とは、「胸骨圧迫による心臓マッサージ」および「人工呼吸」を行なうことをいいます。 「AED」は、「自動体外式徐細動器」のことで、植込み型徐細動器と同様に心臓に電気ショックを与え、 拍動を正常に戻す装置です。AEDは、自動的に心電図を解析し、必要な場合にだけ徐細動を行ないます。 すべて音声などで使い方を指示してくれるので、専門的な知識がない人でも操作できます。 日本では、2004年に一般の人でもAEDを使用できるようになってから普及が進んでおり、 駅や空港、学校などの公共施設や人が多く集まる場所にAEDが設置されていることも 珍しくなくなってきています。

●倒れている人を見かけたら

倒れている人を見かけたら、ためらわずに救命措置を行なうことが大切です。 救命措置をした結果、万が一事故が起きたとしても、故意や重大な過失によるものでなければ、責任は問われません。 また、近くにAEDがない場合であっても、胸骨圧迫による心臓マッサージを実施するだけで、 救命率は向上するといわれています。


●救命措置の手順

1.反応を確認する
倒れた人がいたら、車の往来など、周りの安全を確認した上で、倒れた人の肩を叩きながら、 大きな声をかけて反応を確認する。

2.119番通報をして、AEDを手配する
倒れた人に反応がなければ、周りの人に大声で声をかけ、119番通報とAEDの手配を頼む。 一人の場合は、まずは119番通報を行なう。

3.気道を確保し、呼吸を確認する
あお向けに寝かせ、片方の手で患者の額を押さえて、もう一方の手の指先であごの先を持ち上げる。

4.人工呼吸を行なう(省略しても良い)
心肺停止の場合、額を押さえた手で患者の鼻をつまみ、患者の胸が持ち上がるまで、患者の口に息を吹き込む。 ただし、口と口が触れることに躊躇する場合などは省略してもよい。

5.胸骨圧迫による心臓マッサージを行なう
患者の胸の真ん中を1分間に100回(1秒間に2回より少し遅い程度)のペースで垂直に強く押す。 1回圧迫したら、胸が元の位置に戻るのを待ってから、再度圧迫する。30回行い、人工呼吸を2回行なうのを 繰り返す(人工呼吸は省略可)。他に人がいれば、2分ごとに交代する。

●危険な不整脈を起こす可能性がある人は

心臓病があるなど、危険な不整脈を起こす可能性がある人は、外出の際などは極力誰かと一緒にいるようにしてください。 ふだんからAEDの設置場所を確認しておくことも大切です。