高血糖対策・糖尿病予防に「自転車漕ぎ」

高血糖改善・糖尿病予防のために速歩を行う人が多いようですが、足腰の衰えた人は、週3回の『自転車漕ぎ』が有効です。


■自転車漕ぎ運動

膝や腰への衝撃が少ない

高血糖改善糖尿病予防には、習慣的に運動を行うことが大切です。 運動を行えば、血液中の余分な糖をエネルギーとして消費できるため、体脂肪として蓄積されにくくなります。 そうすれば、糖尿病の危険因子である肥満も防ぐことにもつながります。 最近では高血糖改善・糖尿病予防のための運動として、「ウォーキング」を行う中高年が増えてきました。 とはいえ、散歩をするときのように漫然と歩いていても、高血糖・糖尿病の予防改善には十分な効果は期待できません。 十分な運動効果を得るには、ウォーキングの場合は大またで腕を大きく振り、ふつうに歩くときより2~4割増しの速さで歩く必要があります。 しかし、肥満の人や、膝痛・腰痛のある人がそうした運動強度を保ちながら歩くのは難しいことです。 そうした人に、おススメなのが自転車漕ぎ運動。自転車なら、膝や腰への衝撃が少ないため、 足腰の衰えた人でも、継続して安全に運動できることがわかってきました。


●自転車漕ぎ運動の効果

血中インスリン濃度が大幅改善

自転車メーカーの㈱シマノで、自転車漕ぎの運動効果を調べるために、次のような試験が実施されました。 この試験は、メタボリックシンドロームを自覚する人、あるいは健康づくりに関心のある50人を対象に、 2007年8月から3ヶ月間にわたって週3回以上、1日合計30分を目標にして、自転車に乗って走行してもらいました。 このとき、特に食事制限は設けませんでした。その結果、対象者のうちメタボリックシンドロームの心配な人で、 血中のインスリン濃度が通常よりかなり高い値であった人については全員が大幅に改善し、 血圧が高かった人も半数以上に改善が見られました。 また、対象者全体を見ると、自転車に週2回乗った人では、体重は平均1.5kg、体脂肪は平均1.2%の減少が見られ、 週3回乗っていた人では、体重は平均で1.7kg、体脂肪は1.6%の減少が見られたのです。

自転車漕ぎ運動の利点は、ウォーキングに比べてスピードがあり、風を感じられるので体温があまり上がらないため疲れにくく、 長く運動できるということです。競技タイプでない自転車に乗る場合は、時速20~25kmくらいの速さで走ると、 歩行時の約3倍の運動強度が得られると考えられています。 こうしたことから、週に3回、1日30分を目安に自転車漕ぎ運動をすれば、体重や体脂肪の減少はもちろん、糖の消費量も高まって、 血糖値の改善にもつながります。 なお、自転車漕ぎ運動をするときは、軽めのペダルを速く回すことを心がけ、風を切るくらいの速さを維持するようにすると いいでしょう。

【関連項目】: 『運動不測解消に「サイクリング(サイクル運動機器)」』