老眼になると「記憶力・集中力の低下やボケを招く」

見る・聞く・匂いをかぐなどの五感が衰えると、脳は情報不足に陥って働きが低下し、老化が急速に進みます。 なかでも、脳の最大の情報源は「目」で、近視や老眼になると記憶力・集中力の低下から、 ボケまで招くことにつながります。


■目と脳の関係

目と脳は密接に繋がっている

皆さんの中には、物を見るのは目だけの役目だと思っている人も多いのではないでしょうか。 しかし、私たちは目だけで物を見ているわけではなく、実は脳も使って見ているのです。 どういうことかといえば、目と脳が連携して働くことで、私たちは初めて物を見ることができるのです。 例えば、皆さんは「目の前にある探し物が見つからなかった」「歩いているときに目の前にいる知り合いに気づかなかった」 といった経験をしたことはありませんか。これらは、目で捉えた情報が、脳へきちんと伝わっていないときに起こる現象なのです。 私たちが物を見ると、まず眼球に光が入ります。 その光は、カメラに例えるとレンズの役目をする水晶体によって屈折し、眼の奥にあるフィルムの役目の網膜に像を映し出します。 網膜には神経が張り巡らされており、光を受けて刺激されます。 その刺激が脳の視覚野という部位に情報として伝わって初めて、「見えた」ことになるのです。 したがって、目と脳との連携がうまくいっていなければ、物は見えません。 私たちがものを見るときに重要なのは、視力の良し悪しだけではなく、目から入った情報を脳で正しく理解する 「視覚」という能力です。


■目の働きを高めれば脳も活性化できる

では反対に、近視や老眼になったりして、目の働きが衰えるとどうなるのでしょう。 もしそうなれば、目と脳の連携が悪くなるため、視覚野の情報量が不足します。 私たちがふだん使っている五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を担う器官の中で、 脳の最大の情報源となるのは「目」。 ですから、視覚野への情報が不足すれば、脳の働きは著しく衰えてしまうことでしょう。
目が脳に及ぼす影響の大きさについては、ある実験でも明らかになっています。 その実験では、子供たちを二つのグループに分け、一つのグループの子供たちには何もせず、 計算問題を解いてもらいました。 もう一つのグループの子供たちには、目の体操を数分間行ってもらった後、同じ計算問題をしてもらったところ、 その結果は歴然としていて、目の体操を行ったグループの方が、はるかに成績がよかったのです。 これは、目の体操を行うことで、問題を解く脳の部位に刺激が与えられたためと考えられます。

視力が低下して、脳の働きが悪くなるのは子供だけではありません。 社会人の場合には、仕事でもミスが増え、仕事の能率も悪くなるでしょう。 中高年以上の人は、老眼になると、記憶力・集中力・判断力が低下して、物忘れを起こす怖れも出てきます。 逆に言えば、近眼や老眼を克服して視力を回復させれば、 脳の老化を食い止めることもできるのです。