脳血管性認知症の検査・診断

早期からの歩行障害や失禁などの”らしさ”を見つける

近年、脳血管性認知症とアルツハイマー病に関する考え方が、大きく変化してきました。 かつては、両者が重なり合うことはないとされていたため、必ずどちらかに診断されていました。 脳卒中を起こしたことがある人が認知症になれば、すべて脳血管性認知症と診断されていたのです。 しかし現在は、脳血管性認知症とアルツハイマー病を併発する「混在型」もあるという考え方で診断が行われます。 実際の診断では、問診によって”脳血管性認知症らしさ”を見つけていくことがポイントとなります。 ”脳血管性認知症らしさ”とは、主に前述した症状の特徴のことで、当てはまる項目が多いほど 脳血管性認知症の可能性が高くなります。例えば、「突然発症する」「段階的に進行する」「症状が変動する」などは、 アルツハイマー病などには見られない脳血管性認知症の特徴です。 また、アルツハイマー病は徐々に進行しますが、脳血管性認知症は、 脳卒中の再発がなければ「安定状態が長く続く」ことになります。

問診や認知機能テストの結果から認知症が明らかになり、「MRI」「CT」「SPECT」といった画像検査などの結果から 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が証明され、これらに因果関係があると判断された場合に、初めて脳血管性認知症と診断されます。