鬱病(うつ病)が治らない

鬱病(うつ病)という診断は正確か?

鬱病(うつ病)』が治らないことはよくあります。 鬱病(うつ病)という診断は、正確な診断でしょうか? 鬱病(うつ病)の症状はいろいろな病気で起こりますし、 鬱病(うつ病)だとしても、タイプや重症度によって治療が異なります。 そんな時には、治らない原因を探ってみることが大切です。
考える主なポイントは、「本当は鬱病(うつ病)ではない、鬱病(うつ病)だとしてもタイプや重症度の診断が適切でない」、 「薬の使い方が間違っている」「鬱病(うつ病)につながる考え方や環境に対処できていない」 「双極性障害の可能性がある」の4つです。何が原因なのかが明らかになれば、 それに適切に対処していくことで、よくなることが期待できます。


■鬱病(うつ病)が治らない背景

大きく分けて4つの理由が考えられる

鬱病(うつ病)が治らないことは、少なくありません。アメリカで行われた大規模調査では、 鬱病(うつ病)の人を対象に「薬物療法」「認知行動療法」などの治療を行ったところ、 症状がなくなった人は67%で、33%は1年以上たっても症状がなくならなかったという結果が出ています。 鬱病(うつ病)が治らない場合には、「診断は正確か?」「薬を正しく使っているか?」 「鬱病(うつ病)につながる患者さんの考え方や、ストレスの多い環境に対処しているか?」 「双極性障害ではないか?」といったことを考えてみる必要があります。


■正確な診断とは?

9つの症状の現れ方や継続時間から診断される

鬱病(うつ病)は、患者さんに現れている症状から診断する病気です。 中心となるのは、抑鬱気分興味や喜びの消失という2つの症状です。 それ以外に、食欲の異常(食欲がなくなる場合と過剰になる場合がある)、 睡眠の異常(眠れなくなる場合と過剰に眠くなる場合がある)、 そわそわして落ち着かない、または体が重く感じられる、疲れやすい、自分を責めてばかりいる、 思考力や集中力がなくなる、死にたいと思うといった症状があります。

鬱病(うつ病)の診断条件には、中心となる2つの症状のどちらかが必ずあり、 さらにそれを含めて5つ以上の症状が必要です。 また、その症状が合ほとんど一日中かつ、2週間以上続く場合に、初めて鬱病(うつ病)と診断されます。

●鬱病(うつ病)の診断は難しい

鬱病(うつ病)を診断するには、患者さんの話から、症状を探っていく必要があります。 そのため、病気かどうかの見極めが非常に難しいのです。 また、他の病気でも鬱病(うつ病)の症状が現れることがあります 「不安症」「発達障害」「アルコール依存症」などがそうです。 そのほか、「脳梗塞」「認知症の初期」「癌」「甲状腺機能低下症」などでも、 鬱病(うつ病)とよく似た症状が現れることがあります。

●重症度やタイプの見分けも大切

適切な治療が行われるためには、重症度や鬱病(うつ病)のタイプを見分けることも大切です。 鬱病(うつ病)の治療は、軽症中等症・重症に分けて行われるからです。 鬱病(うつ病)には典型的なタイプである「メランコリー親和型うつ病」と、 それとは異なる「非定型うつ病」があります。 それぞれに適した治療が行われるので、これを見分けることも大切です。