鬱病を治す『考え方・ストレス対処法』
鬱病では、考え方やストレスが関係していることが多く、 心理状態に働きかける治療法が有効なことがあります。
■鬱病の治療
鬱病の治療には薬以外の対処法もある
鬱病を発症するのには3つの要因が考えられます。
1つは「脳の働き」です。鬱病のときには、
気分や意欲に関係する神経伝達物質の働きが悪くなっていることが考えられます。
その他、本人の考え方や、さまざまなストレスも関係します。
これら3つが絡み合って、鬱病が発症すると考えられています。
それぞれの要因に適した対処法があります。抗うつ薬は、一般的に効果的な治療法ですが、
考え方やストレスという要因が強い場合には、抗うつ薬だけではよくなりにくいのです。
考え方に問題がある場合には、「カウンセリング」(支持的精神療法)、認知行動療法、対人関係法などが効果的です。
ストレスが要因の場合には、ストレスを減らすための環境調整や休養が必要です。
■考え方への対処
鬱病につながる否定的な考え方のパターンを見直す
考え方に問題がある場合には、心理状態に働きかける治療が行われます。 基本となるのは、医師と面談するカウンセリングです。生活の見直しや、いろいろな場面での対処の仕方について、 アドバイスを受けます。鬱病治療の基礎となるもので、軽症の場合、これだけでよくなることもあります。
●認知行動療法
鬱病になる人は、周囲の人々や自分の将来に対して、否定的な考え方のパターンを直すことが、治療に役立ちます。 本人が否定的な考え方をしていたら、どのような状況のときに、どうしてそう考えたのか振り返ってもらいます。 次に、逆の考え方はできないか、自分の考えを見つめ直してもらいます。 こうして、別の考え方もできることに気付くのです。 認知行動療法は、効果が実証されている治療法です。薬の治療と併せて行われることが多いのですが、 軽症や中等症では単独で行われることもあります。 行っている医師や医療機関は少ないので、主治医に相談し、紹介してもらうとよいでしょう。
●対人関係療法
家族、友人、恋人、職場の人など、対人関係に注目し、鬱病につながるような考え方のパターンがあれば、 変えていくようにします。認知行動療法と同様に、鬱病への効果が実証されていて、 脳機能にも良好な変化をもたらすことがわかっています。
■ストレスへの対処
周囲の協力を得て、環境調整する
ストレスがある場合には、それを取り除くための環境調整が必要です。 例えば、仕事が多すぎることがストレスになっているなら、それを軽減することが大切です。 鬱病が重い場合には、休業することも勧められます。休むことで鬱病がよくなることは多くあります。 職場での環境調整には、職場の協力が必要です。主治医の診断や指示を受け、 人事担当など、職場の第三者的立場の人が対応することが多いようです。 産業医がいる場合には、本人と会社の間に立って、いろいろと助言してもらえます。
■復職を目指す
まずは生活のリズムを整える。不安なら「リワーク」も行う
鬱病がよくなって復職する場合には、その前に行っておきたいことがあります。 まず、規則正しい生活にし、就寝時刻と起床時刻を一定にします。 仕事をする体力をつけるために、ウォーキングなどを行うことも大切です。 さらに、仕事に適応できるように、図書館やカフェなどに通い、新聞の内容をまとめるなど、 文書作りの練習をするのもよいでしょう。
●復職を支援するリハビリ「リフリーク」
鬱病の症状がなくなった状態と、復職が可能な状態の間には、大きなギャップが存在する場合があります。 その間を埋め、復職を支援する「リフリーク」というリハビリテーションがあります。 リフリークは、一部の医療機関や、地域障害者職業センターなどで行われています。 多くはグループ単位で行われ、数ヶ月間通って、その後復職します。 リフリークは、復職するすべての人に必要なわけではありません。 特に勧められるのは、次のような人です。 復職に対して不安が強く、なかなか一歩を踏み出せずにいる人には、不安を和らげる役割を果たしてくれます。 以前復職に失敗していて、今回が2回目以上の人にも適しています。 このような人は、また失敗するのではないかという不安を持っています。 何か原因があってぶり返しているのであれば、リワークがそれを見つめ直すきっかけにもなります。