アディポネクチンを増やす「杜仲茶」

杜仲茶』は、長寿ホルモン「アディポネクチン」を増やす力が強いことから、 今、学会で注目されている健康食品で、メタボリックシンドロームや高血圧退治に鋭い効果があるといわれています。 杜仲茶をラットに与えたらアディポネクチンが有意に増えたという日本薬学会での発表があり、
日に約1リットルを目安に飲むといいようです。


■杜仲茶

10人中7人で、内臓脂肪が大幅減

最近、長寿ホルモンの「アディポネクチン」が、『杜仲茶』というお茶で増えることが 学会で発表され話題になっています。杜仲茶とは、杜仲という木の葉を乾燥させて作られるお茶のことで、 杜仲は「トチュウ科トチュウ属トチュウ」という「一科一属一種」の世界でも珍しい樹木です。 大昔は地球上の広い地域で自生していましたが、現在は氷河期を生き残ったものだけがユーラシア大陸(主に中国四川省付近)で見られる程度です。

杜仲は、中国では数千年前から不老長寿の生薬として珍重されてきましたが、 本当の意味でその健康効果の秘密が解明されたのは、つい最近のことです。 特に2006年の日本薬学会で発表された、三重大学医学部の杜仲の葉を用いた実験は、大きな注目を集めました。 この実験では、ラットを高脂肪食のみ与える群と、高脂肪食に杜仲の葉を混ぜて与える群に分け、 それぞれの群で体重と内臓脂肪の量の変化が調べられました。 その結果、杜仲の葉を混ぜて与えた群は、高脂肪食のみを与えた群に比べ、体重の増加は2/3に、 内臓脂肪の増加量は半分に抑えられていました。

続いて薬品メーカーが行った人間による試験でも、内臓脂肪の減少が同様に認められています。 この試験では、10名の被験者に杜仲の葉と桑の葉を配合したものを2ヶ月摂ってもらい、内臓脂肪の面積の変化を調べました。 内臓脂肪の面積は、CTスキャン(コンピュータ断層撮影)で腹部を輪切りにした画像をもとに測定されました。 その結果、10名中7名で内臓脂肪の減少が確認され、平均で9平方センチ(約7%)も少なくなったというデータが得られました。 中には、内臓脂肪の面積が35%(43.2平方センチ)も減少する人まで出て、杜仲茶は専門家の間でも一躍注目を集めました。


●アディポネクチンを増やし、高い血圧を下げる

注目したいのは、長寿ホルモンのアディポネクチンの量と内臓脂肪の量は、シーソーの関係にあることです。 内臓脂肪が減ると、アディポネクチンは相対的に増えてくることです。 三重大学医学部の実験でもこのことが裏付けられています。杜仲の葉を混ぜて与え内臓脂肪が減ったラットのグループは、 高脂肪食のみを与えたグループに比べ、アディポネクチンの量が2倍に増えていたのです。 一方で、杜仲茶は昔から高血圧に大変よく効くお茶として親しまれてきましたが、そのことも、 これらの研究で確かめられたわけです。内臓脂肪が増えると、アディポネクチンの分泌が減って高血圧をはじめ 高血糖、高脂血症(血液中の悪玉コレステロールが異常に多い状態)を招き、動脈硬化の危機を高めます。 ところが、杜仲の葉でアディポネクチンを増やせば、これらを改善することができるのです。


●血管内皮の機能を改善して血管を拡張する

杜仲の葉には、健康効果の大きいさまざまな成分が「杜仲葉配糖体」という化合物として含まれています。 この配糖体には、イリドイド配糖体、ポリフェノール化合物などがあり、これらの成分がアディポネクチンの分泌を促すのだ と考えられます。 また、杜仲葉配糖体の成分そのものにも、血圧を下げる働きのあることがわかっています。 杜仲葉配糖体は、体内に吸収されると、血管内皮に作用してその機能を改善し、血管の平滑筋をしなやかにして 血管を拡張させるのです。 その結果、血流がよくなり、血管内の抵抗が減って高い血圧が下がってくるわけです。 昔から杜仲の葉は不老長寿の食べ物といわれてきたのも、これを摂ると長寿ホルモンが増え、高い血圧が下がるなど、 さまざまな効果があったからでしょう。