生理活性物質
(アディポサイトカイン)

生理活性物質アディポサイトカイン)』とは脂肪細胞から分泌される物質の総称であり、 「アディポネクチン」「アンジオテンシノーゲン」「PAI - 1」「TNF - α」などがあります。 脂肪細胞はさまざまな働きを持つ生理活性物質(アディポサイトカイン)を作り出すという、重要な役割を担っていますが、 生理活性物質(アディポサイトカイン)はその生理活性から善玉と悪玉に大きく分けられ、 内臓脂肪が増えすぎると、悪玉の生理活性物質(アディポサイトカイン)が血糖や血中脂質、血圧などに悪影響を及ぼして、 生活習慣病を引き起こします。 近年、生活習慣の変化によりメタボリックシンドロームの患者数が増加の一途をたどっていますが、 これらの物質はメタボリックシンドロームの発症において中心的な役割を果たしていると考えられており、注目を集めています。


■生理活性物質(アディポサイトカイン)

脂肪細胞から分泌される物質

体内には、成人で約300億個もの脂肪細胞があります。 ここには、主に中性脂肪が蓄えられており、脂肪細胞は過剰エネルギーの貯蔵庫としての働きをしています。 また、脂肪細胞はさまざまな働きを持つ『生理活性物質』をを分泌する内分泌細胞としての重要な役割も担っています。 この脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して「アディポサイトカイン」といいます。 主な生理活性物質(アディポサイトカイン)には「アディポネクチン」「アンジオテンシノーゲン」「PAI - 1」「TNF - α」などがあります。

これらのアディポサイトカインは、動脈硬化を予防する「善玉アディポサイトカイン」と、 動脈硬化を促進させる「悪玉アディポサイトカイン」とに分けることができます。 正常な状態では、これら善玉・悪玉アディポサイトカインの分泌バランスはよく保たれますが、 内臓脂肪が過剰に蓄積した状態では、不思議なことに善玉アディポサイトカインの分泌量が減り、悪玉アディポサイトカインが過剰に分泌されます。 この分泌の乱れが血糖や血中脂質、血圧などに悪影響を及ぼして、生活習慣病を招き、 動脈硬化や糖尿病を進展させるのです。 これらのアディポサイトカインは、皮下脂肪でもつくられていますが、内臓脂肪でつくられる方が、体内の代謝により強く影響することがわかっています。


■代表的な生理活性物質(アディポサイトカイン)

▼アディポネクチン
「アディポネクチン」

▼PA1-1
血液を固まりやすくして、出血を止めます。 一方で、増えすぎると血栓ができやすくなり、 「脳梗塞」「心筋梗塞」の引き金となる「悪玉」の物質です。

▼TNF-α
腫瘍を壊死させる因子として発見された物質ですが、増えすぎると「インスリン」の働きを低下させます。 その結果、ブドウ糖がエネルギーとして使われにくくなり、 高血糖を引き起こす「悪玉」の物質です。

▼アンジオテノシノーゲン
血管を収縮させて血圧を上げる働きがあります。 低血圧を防ぐ一方、高血圧の原因にもなる「悪玉」の物質です。

▼レプチン
十分に分泌されていると脳は”栄養は十分にある”と判断し、基礎代謝を高めて消費エネルギー量を増やしたり、 満腹感を覚え食欲を抑制するよう働きかけます。 分泌量が少なくなると脳は、”栄養が不足している”と判断し、食欲を増進させたり、 基礎代謝を下げたりして、エネルギーを体に蓄えるように働きかけます。

■関連項目