高感度CRP

従来の「CRP」検査では普通、0.3mg/dlまでを異常なしとしてきました。 それが血液中のCRPを従来の100倍~1000倍の高い精度で検査する方法が開発され、 体の中の微小な炎症も検出できるようになりました。それが高感度CRPです。


■高感度CRP

心筋梗塞や脳梗塞の新たなる脅威

動脈硬化を引き起こす原因には、 コレステロール高血圧、ホモシステインなどがあります。 なかでも、総コレステロールが高いことが一番の指標とされてきましたが、 総コレステロールが低くても、 心筋梗塞を発症する人が2人に1人の割合でいました。 そこへ、新しい指標が生まれてきました。 それが、「高感度CRP」で、コレステロールに優先して、 あるいは、コレステロールと同等に、心筋梗塞や 脳卒中の危険因子として重視されています。

「高感度CRP」は、たんぱく質の一種で、肝臓でつくられます。 肺炎や風邪にかかると、血液中で通常の1000倍程度まで増殖します。 従来の「CRP」検査では普通、0.3mg/dlまでを異常なしとしてきました。 それが血液中のCRPを従来の100倍~1000倍の高い精度で検査する方法が開発され、 体の中の微小な炎症も検出できるようになりました。 それが「高感度CRP」で、従来のCRPと区別するため、「高感度」と言う言葉を頭に付けています。

この検査が取り入れられるようになって、従来のCRP検査では異常なしに分類された人の中に、 慢性的に微小な炎症が発生しているケースがあることがわかってきました。 そして、高感度CRPの数値が高い人ほど、心筋梗塞や脳卒中などの循環器系の重大な病気を引き起こす確率が高いことが、 アメリカで行われた高感度CRPとLDL(悪玉コレステロール)の追跡調査によって明らかになりました。 その調査によると、高感度CRPとLDLがともに高い人たちに、心筋梗塞や脳卒中が多発し、 LDLが低くてもCRPが高い場合は、心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが高いことが明らかになっています。

高感度CRPと糖尿病の関係では、 日本大学医学部総合健診センターの調査で、高感度CRPが高い人ほど、空腹時の血糖値も高いという相関関係がみられたと報告されています。 また、高感度CRPが高くなるにつれ、体重も多く、血圧、総コレステロール、中性脂肪、 尿酸値などの動脈硬化危険因子も高く、これらの因子と高感度CRPには相関関係があることがわかりました。 一方、HDL(善玉コレステロール)については、高感度CRPが低い人ほどHDLが高いという逆の関係がみられたと報告されています。