【質問】頭や顔から汗が流れ落ちます
汗かきで、少し動いただけで頭や顔から汗が流れ落ちます。春先から夏は、汗のためにお化粧もできません。
冬は暖房で顔が火照って真っ赤になり、恥ずかしいくらいです。下半身は夏も冬も冷えています。
原因は何でしょうか。
●60歳代:女性
【答】
下半身は冷えているのに、顔が火照っている状態は、「冷えのぼせ」ともいわれ、更年期以降の女性に多い訴えです。
まず、下半身が冷える原因としては、
「閉塞性動脈硬化症」 などの血管の病気や、
「脊柱管狭窄症」などの整形外科領域の病気が隠れていることがあります。
その場合は、原因となっている病気の治療が必要です。
特に原因がないのに下半身が冷える場合は、自律神経のアンバランスによるものが多くみられます。
交感神経が優位になり、脚の血管が収縮して血流が低下するために下半身が冷えるのです。
ただ、下半身の血流が低下しても、体全体の血液量は変わらないため、上半身の血流量が増えて熱が偏ることで暑いと感じます。
すると、毛細血管の拡張や発汗によって余分な熱を体外に放出しようとする反応が起こり、顔が真っ赤に火照ったり、
発汗過多になったりすると考えられます。この場合は、老化や体質的な要素が強く、治療対象とならないことが多いのです。
漢方では、冷えのぼせの状態を「上熱下寒」と呼び、エネルギーの流れが逆行する「気逆」が原因と捉え、
全身の血流を改善して熱のアンバランスを是正するような治療を行います。
例えば、シナモンや薄荷など芳香性の生薬を配合した「桃核承気湯」「桂枝茯苓丸」「加味逍遥散」などの漢方薬が用いられます。
食事においても、大葉(青じそ)やゆず、せり、にらなど香りの強い食材や、ミントティーやジャスミン茶などのハーブティーを積極的に摂ると、
「気」の流れがスムーズになりやすいとされています。
冷えやのぼせは、
肩こりや
腰痛を伴うことが多く、
長年のよくない姿勢や座り方、運動習慣など日常生活の影響も大きいとされています。
筋力をつけるスクワットやウォーキング、
筋肉の柔軟性を高めるストレッチなど、手軽な運動を続けましょう。
また、自律神経のバランスを整えるには、ゆったりとリラックスすることが大切です。
ぬるめのお風呂に好きな香りの入浴剤を入れたり
アロマオイル
を使ったマッサージを行ったりするのもお勧めです。
(この答えは、2020年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)