気管支喘息の薬の使い方

気管支喘息では、気道の炎症を抑えるステロイド薬などを使い続けて発作を予防し、 発作が起きた時は、速やかに気道を広げる気管支拡張薬などで発作を鎮めます。

【質問】喘息の吸入薬の使い方は?

【答】

吸入ステロイド薬や長時間作用性β2刺激薬との配合剤は、ドライパウダー剤とエアゾール剤を、さまざまな方式の器具で口から吸い込んで使います。 十分な効果を得るためには、用いる薬に応じた方法で正しく吸入することが重要です。 吸入前の手順は使う器具によって異なるので、医師や薬剤師の説明をよく聞いて、マスターしてください。 準備ができたら、①息を吐く、②吸入口を加える、③しっかり吸うの3ステップが基本です。 ドライパウダー剤は吸入するのにある程度の速度が必要なので、強く勢いよく吸い込みます。 エアゾール剤は噴霧とタイミングを合わせて、ゆっくり大きく吸い込みます。 いずれも吸い込んだら、5秒ほど息を止めてからゆっくり吐きます。 吸入後は、口の中やのどの局所的な副作用を予防し、全身への影響をできるだけ少なくするために、すぐにうがいをしてください。

◇うまく薬が入っているか心配な時は

実感のないタイプの薬もあるので、薬をきちんと吸い込んだかどうか気になるときは、吸入口に確認用の布を挟んで吸い、 そこに付いた薬を見て確かめる方法もあるので、医師に申し出るとよいでしょう。


【質問】吸入薬を使っていても楽にならないときは?

【答】

吸入ステロイド薬は使い始めは効果を実感しにくいものですが、最近、症状がある程度続いている人では長時間作用性β2刺激薬との配合剤を使うケースが多くなり、 効果がわかりやすくなっています。指示されたように使っても効果が現れない場合は、まず正しく吸入できているか、 医師の前で実際に吸入して見てもらいましょう。吸入薬の使い方に問題がなければ、医師は薬の量が適切かどうか検討し、併用薬を見直します。 喘息の薬でどうしてもコントロールできない人の中には、別の病気が潜んでいる可能性もあります。


【質問】発作が起こったときの薬の使い方は?

【答】

横になれるくらいの軽い発作では、通常、短時間作用性β2刺激薬の吸入薬を20分ごとに3回使い、以後1時間置きに、指示された回数の吸入をします。 ただし、吸入を始めても30分くらいの間にどんどん悪化していく、吸入を続けて動悸がしてきたというときは、受診したほうがよいでしょう。 また、短時間作用性β2刺激薬の吸入が、1日3回以上、2日連続であったら、長期管理の治療を見直す必要があるので、受診してください。

 ◇経口ステロイド薬の使い方は?

気管支拡張薬で治まらない発作時や調子が崩れた時など、短時間だけ経口ステロイド薬を使うこともあります。 薬の作用時間が比較的短く、容量の調節をしやすいプレドニゾロンがよく用いられ、 例えば、5mg錠で3錠を3日間飲み、その後2錠を3日間、1錠にして3日間というような使い方をします。 しばらく使い続けて維持する必要がある場合は、必要最小量を使います。


【質問】他の病気もある場合の薬の使い方は?

◆鼻炎を合併している場合は?

アレルギー性鼻炎を合併している人には、吸入ステロイド薬に内服のロイコトリエン受容体拮抗薬の追加が有効とされ、 鼻噴霧ステロイド薬などによる鼻炎治療も喘息の改善につながるといわれています。

◆COPDを合併している場合は?

喫煙していれば、まず禁煙が第一です。COPDの薬物療法では、気管支拡張薬の中でも、長時間作用性の抗コリン薬の吸入が重要で、 喘息に合併している場合は、吸入ステロイド薬と併用します。

◆胃食道逆流症を合併している場合は?

咳の原因になりやすいといわれています。 胸やけなどの逆流症状があれば、プロトポンプ阻害薬による胃酸分泌を抑える治療も行ったほうがよいとされています。

◆アスピリン喘息がある場合は?

アスピリンをはじめ、解熱鎮痛薬として広く使われている酸性の非ステロイド抗炎症薬を使って、喘息の大発作が起こる人がいます。 ロイコトリエン受容体拮抗薬がある程度和らげてくれる効果があります。 また、鼻にポリープ(鼻茸)を持っている人が多く、鼻茸の手術をすると鼻詰まりが取れて、後の喘息のコントロールも改善します。 ただし、アスピリン喘息への注意は続ける必要があります。


【質問】症状が出なくなったら、薬は減らせる?

【答】

慢性的な炎症を抑えるための吸入ステロイド薬は、基本的に症状に関係なく使い続けるものですが、よい状態が保てれば量は減らせます。 ただし、じっくり段階的に減らしていくことが大切で、1~2週間症状がないからと、自己判断で減量するのは禁物です。 目安としては、長期管理薬をきちんと使って、よい状態が3~6ヵ月続いたら、段階的にステップダウンしていきます。 薬を減らしたらまた症状が出た場合は、前のステップに戻して、安定したコントロールが保てる量で治療を続けます。


【質問】喘息の薬を使っているときに気を付けることは?

薬の使い方や副作用については?

【答】

一番大切なのは、指示通りに薬を使い続けることです。長時間作用性の薬はある程度の時間の融通が利くので、 自分の生活の中で一番確実に薬を使えるタイミングを選んで、習慣にしましょう。旅行のときにも薬を忘れないようにしてください。 薬の副作用とは限りませんが、咳や淡、息切れ、動悸などが出てきたら、医師に相談してください。 ゼイゼイしないのに息苦しいときは、気胸の併発も疑われます。

日常生活では?

【答】

アレルギー性の場合は、家のほこりやダニなどのアレルゲンを生活環境から減らすと、薬の効果が出やすくなって、量が少なくて済むようになります。 発作のきっかけになりやすい風邪や空気の乾燥、温度差などによる刺激にも注意しましょう。


気管支喘息の治療に用いられる主な薬