超睡眠法第1章『ピークシフトで脳をマネジメントする』⑧就寝前

就寝前①就寝1時間前に、ぐっすり眠るためにやること。
就寝前②シャワー欲中、入浴後のポイント!

■就寝前に軽い運動をして体温を上げる

◆体内の酸素を取り込んで、ゆっくり運動する

深部体温リズムの法則から、起床から11時間後に体を動かすと体温が上昇し、寝付きがよくなるとされています。 しかし、実際問題、その時間帯は仕事も忙しくて運動をする機会を逃す場合もあります。 そんなケースは、眠る1時間ぐらい前にストレッチなど軽い運動をしてみましょう。 すでに何らかのエクササイズをしている方は、この時間帯にやることをおススメします。 体を動かすのに重要なのが、脳や筋肉に多く含まれている「ミトコンドリア」という細胞小器官です。 生物の教科書などでその名は聞いたことがあると思いますが、このミトコンドリアが糖分をビルビン酸という化合物に変化させ、 酸素と反応させてエネルギーを作っているのです。人間のエネルギーを作る系統にはこのミトコンドリア系のほか、 酸素を使わずに糖分を燃やす「解糖系」があります。若いうちは解糖系が主流ですが、 年を取るほどミトコンドリア系が優位になってきます。就寝前の運動はミトコンドリアを主に活用するので、 体を動かす際は体内に酸素をしっかり送り込み、体温を上げていきましょう。


◆激しい運動は体温が下がらないので逆効果

就寝前におススメできないのが、ダンベルなどを使った激しい筋力トレーニングです。 よく会社帰りにジムなどへ行って激しく体を動かす方から「寝つきが悪い」という話をうかがいますが、 それは運動により体温が上がり過ぎてしまい、体温が下がりきらないまま寝ようとしているからです。 人間は体温が下がらないと眠りにつきにくい仕組みなどで、就寝前にやるならストレッチやヨガなど、ゆっくりとした 軽い運動がベストです。就寝1時間前のタイミングで体温がちょっと上がり、寝るころには体温が急激に下がっていくので ぐっすり眠れます。以前に10㌔ぐらい走ってから寝る方から「寝つきがよくない」という話をうかがったことがあります。 なぜ走っているのかと聞くと、「体力をつけたり、体のリカバリー能力を上げたいから」とおっしゃっていたのですが、 それは睡眠中の働きとセットにした方が効果が高いので、もし就寝前にジョギングなどされている方は、 毎日ではなく週3日だけに変えるなど工夫すると、より効果的だと思います。

【激しい運動は安眠を妨げる恐れも】

回復力をアップさせるために体を鍛える人も少なくありませんが、中には夜の睡眠時までに体温が下がりきらなくなるほど、 激しく体をいじめ抜く人もいます。しかしこれでは疲労回復に時間がかかり、本末転倒になるので要注意です。


■足首は冷やさないようにする

◆足首は一度冷えると、温まりにくい個所

スムーズに睡眠に入るために、就寝前は足首をなるべく冷やさないようにします。 なぜなら、足首はいったん冷えるとなかなか温まりにくい部位だからです。 なぜ足首が温まりにくいのかというと、熱を生む筋肉(筋肉の中心の膨れ上がった部分)がないため、 ですから就寝前に深部体温を下がりやすくするために、入浴時にはシャワーを使って足首を重点的に温め、 入浴後は温まった足首を保温するのです。 深い睡眠に入るためには、眠り始めの段階でいかに体温を高いところから急激に下げられるかがポイントになります。 ですから、足首を保温する際には、レッグウォーマーか、不要になった靴下の先を切ったものを用いて、 足裏を覆わないようにします。足裏を露出しておくと、足裏から汗をかいて放熱するので、体温を下げることができるのです。

◆仙骨は温めて頭は冷やしておく

足首以外では、骨盤の中心に位置する逆三角形の「仙骨」も温めておくと効果的です。 ここは副交感神経の神経節が集まっており、体の表面との距離も近いため、外から温めやすい部分でもあります。 疲労時はこの仙骨の部分が冷えており、副交感神経の動きも鈍くなりがちです。 うつぶせになって湯たんぽや携帯カイロなどを当てて、じんわり温めていきましょう。 このとき長時間当てると低温やけどを起こしてしまうので、うっかりやり過ぎないように気を付けてください。 逆に眠れない時に冷やした方がいいのが頭です。夜、眠れない時は深部体温や脳の温度が高まっていることが多いのです。 両方を下げることで、寝付きが良くなります。 頭を冷やすには冷凍庫に入れて置いたタオルを枕の上に敷き、耳から上の脳の温度を下げていきましょう。 最初だけヒンヤリしていても、やがてタオルは普通の状態に戻るので、ぐっすり眠ることができます。 このとき、濡れタオルだと枕が濡れたり、頭を冷やし過ぎてしまう恐れがあるので、なるべく渇いたタオルを使いましょう。 軟らかい保冷剤を使うのも便利です。また、頭を冷やすと考え事を自然としなくなり効果的ですが、 このとき首は冷やさないように気を付けてください。逆に脳が目覚め、眠りにくくなります。

【足をケアして睡眠を深くする】

睡眠をより深くするには、眠り始めの段階でいかに体温を高いところから急激に下げられるかがポイント。 足首だけを温め、足の裏から放熱すれば温度が下がりやすくなります。眠りが深いと、脳が記憶を整理しやすくなります。