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ポリアミン(polyamine)は、第一級アミノ基が3つ以上結合した直鎖脂肪族炭化水素の総称で、2つ結合したジアミンを含める場合もあります。 ウイルスからヒトまで、あらゆる生体中に含まれ、細胞分裂や蛋白合成などの活動に関与している成長因子です。 ポリアミンは母乳にも含まれ、出産後10日から2週間前後に特に多くなります。 消化器の成熟化など、乳児の成長促進に寄与していると考えられ、乳児用粉ミルクに添加する場合もあります。 また、記憶に関与するともいわれています。 加齢によって、体内のポリアミンは減少することが知られており、老化との関連も示唆されています。
ある研究で同じ誕生日で同じ年齢のマウス140匹を70匹ずつ2つのグループに分け、片方のグループにある物質を投与し、
別のグループには何もしなかったところ、ある物質を投与されなかったグループは毛が抜け落ちて黒ずみ、よぼよぼに老けてしまいましたが、
投与されたグループは、毛並みが白くて若々しく元気でした。なぜこんな差ができてしまったのでしょうか。
私たちは年を重ねると体内に細胞などの老廃物が溜まっていきます。
すると、本来は自分の体を守るはずの「免疫細胞」が老廃物となった細胞を敵とみなして攻撃し、小さな炎症を起こします。
この小さな炎症こそが老化の原因。誰でも年を重ねるごとに小さな炎症は増加し続け、細胞のあちらこちらで体を傷つけ始めます。
この炎症がきれいな血管の壁で起きるようになると、内側がただれカチカチの状態になります。
これが「動脈硬化」という血管の老化で、
「心筋梗塞」や
「脳梗塞」の原因となります。
さらに炎症が肌で起これば、一見きれいに見える顔の内部ではシミだらけの状態が作り出されます。
では、上記の実験で明かされた「老化を遅らせるメカニズム」とは何なのでしょうか?
それは、上記の実験で投与されたある物質に「老化の進行を抑える効果」があるのです。
実はこの物質には老化の原因になっている「炎症」を抑え込み老化を抑制する、という作用があることがわかったのです。
その物質を体に投与すると、加齢によって体に溜まってしまった老廃物に働きかけ、免疫細胞から攻撃を受けないようにしてくれ、
その結果、年を重ねても炎症が起こりずらくなる、というのです。
前記の実験で使われたマウスは、人間でいえば80歳なのですが、若々しかったグループには成人してから老化を遅らせる物質を与え続け、
年相応に老けていたグループにはその物質を与えていませんでした。
ちなみに生存率を比べてみると、実験を終えた時点で生きていた数は、老化を遅らせる物質を与えていなかったグループが70匹中28匹しか生存していませんでしたが、
その物質を与えたグループでは70匹中42匹が生存していました。半分以上が元気に生きていたのです。
では、そんな老化を遅らせる有り難い物質とは何なのでしょうか?
それが、『ポリアミン』です。
ポリアミンとは、微生物から私たち人間まですべての生物に存在する物質で、これがないと生きていけません。
ポリアミンは生物の細胞で作られる体内物質で、私たちが一生で分泌するポリアミンの量は、赤ちゃんの時が最も多く、年を重ねるごとに減少してしまいます。
一方、老化の原因である慢性の炎症は、加齢によるポリアミンの減少と反比例して増えてしまうのです。
では、加齢とともに減少するポリアミンをどうやったら増やせるのでしょうか?
ポリアミンは、成長に欠かせない物質のため赤ちゃんの時が最も多く加齢とともに減少し老化が進んでしまうのが現実。
しかし、年をとってもポリアミンが多い人がいるのです。
したがって、その人たちの生活を探れば、ポリアミンを多く出すヒントが得られるはず。
そこで、ある調査が行われました。調査に参加したのは、ポリアミンが減ってきていると考えられる60歳代女性18名。
実は、ポリアミンはまだ研究途上の物質で、基準値などの正確なデータは世界的にも存在しません。
そこで、60歳代ながら肌つやもよく若く見える女性の血液に含まれるポリアミン濃度を測り、特に値が高い人を見つけ出すことにしました。
すると、ポリアミン濃度がもっとも低い人では0.35、最も高い人は0.82で、この中の数名に非常にポリアミン濃度が高い人いることが判明しました。
では、ポリアミン濃度が高い人と低い人では普段の生活の中でどこが違うのかというと、それは「食べ物」です。
食べ物の中でもポリアミンが多く含まれている食べ物とあまり含まれていない食べ物があるからです。
つまり、ポリアミン濃度が高い人は、ポリアミンが多く含まれている食べ物を頻繁に摂取してポリアミンを補っているのではないか、と考えられるのです。
そこで、上位5名の人の普段の食事を拝見して、共通して食べているものを探したところ、上位5名の人が共通して食べている9つの食材が見つかりました。
それが、「ダイコンなどの根菜類」「サバやサケなどの魚類」「納豆などの大豆食品」「ジャガイモなどの芋類」「ご飯などの穀類」
「シメジ・シイタケなどの茸類」「豚肉などの肉類」「ミカンなどの柑橘類」「レタスなどの葉物類」です。
この中にポリアミンを多く含む食品はあるのでしょうか?
この結果を、自治医科大学の早田邦康先生に見てもらったところ、「ポリアミンを多く含む食材は豆類、特に大豆です」とのことでした。
そう、ポリアミンを多く含む食材とは、「豆腐」や「納豆」などの
「大豆食品」でした。
さらに、ポリアミン濃度を上げてくれる食材がもう1つ。「茸類」です。
シイタケ、エノキ、シメジなどの茸類にもポリアミンがたくさん含まれているとのことです。
大豆、納豆、豆腐、小豆、きのこ類、白子、貝類、チーズ
どのくらいの量を食べたらいいかというと、納豆でいうと1日1~2パック。 ただし、効果が出るまでには数ヵ月~1年以上、毎日食べる必要があります。