Ⅱ型コラーゲン

■コラーゲン

グルコサミンよりコラーゲンが大事

中高年の多くが悩む膝痛の大半を占めている「変形膝関節症」は、膝関節でクッションの役目を果たす 軟骨が年とともに磨り減って衰えることが原因で起こります。軟骨が磨り減って衰えると、 クッションの働きが弱まったり、軟骨の破片によって関節内の組織が傷ついたりする結果、 軟骨の破壊が一段と進み、膝に痛みや腫れが生じ、膝の動きが悪くなるのです。 したがって、膝痛を改善に導くためには、太ももの筋力を強化するとともに、 磨り減った軟骨を修復して強化することもきわめて重要です。 それには、当然、軟骨を修復する栄養の積極的な補給が欠かせません。 膝痛に悩む皆さんの中にも、グルコサミンやコンドロイチン硫酸の栄養補助食品を利用している人が多いでしょう。 これらは、軟骨を構成するプロテオグリカン(ムコ多糖類)の重要な成分で、軟骨の強度や弾力性、 滑らかさを保つ役目を担っています。

しかし、磨り減った膝の軟骨は、これらの栄養を補うだけではなかなか思うように修復されません。 というのも、軟骨には、グルコサミンやコンドロイチン硫酸より、はるかに多い量の『コラーゲン』 が含まれているからです。コラーゲンとは、皮膚や腱、骨や軟骨、血管や内臓などに比較的多く含まれている たんぱく質の一種で、体内のたんぱく質の実に約1/3を占めています。 その最大の特徴は、繊維や膜などの構造体として体内に存在し、皮膚や骨、血管や内臓を形作ることにあります。 軟骨を形作っているのもやはりコラーゲンで、軟骨の全成分のうち60~75%を水分が占め、 その次に多いのが15~20%を占めるコラーゲンです。 グルコサミンやコンドロイチン硫酸などからなるプロテオグリカンは、3~5%とわずかな量しか含まれていないのです。 グルコサミンやコンドロイチン硫酸の栄養補助食品をいくら補っても、膝痛がよくならないと嘆く人が少なくないのは、 もしかしたらこのあたりに理由があるのかもしれません。


■Ⅱ型コラーゲン

軟骨に多いⅡ型コラーゲンを補うのが肝心

コラーゲンを補わなければならないからといって、手羽先やゼラチンなどコラーゲンを闇雲に補えばいいのかといえば、 話はそれほど単純ではありません。なぜなら、コラーゲンには20種類以上に及ぶタイプがあるからです。 皮膚や骨、軟骨に含まれているコラーゲンは、それぞれの部位で、構成成分であるアミノ酸の組成が異なるのです。 私たちの体に最も多く含まれるⅠ型コラーゲンは、主として皮膚や骨に含まれています。 肝心の軟骨に含まれているのは、『Ⅱ型コラーゲン』です。 つまり、軟骨の修復を目的とするなら、Ⅱ型コラーゲンを補わなければ大きな効果は望めないのです。

Ⅱ型コラーゲンは、人間の軟骨だけでなく、例えば鶏や豚の軟骨にも含まれています。 しかし、ここでも問題が一つあります。天然のⅡ型コラーゲンは、過熱や加工の過程でまったく違う構造に変性してしまいます。 そのため、鶏や豚の軟骨を料理などで食べても、従来からあるⅡ型コラーゲンのサプリメントを補っても、 免疫の最前線にある小腸では異物として認識されてしまうのです。 これでは、膝の軟骨の破壊を止められません。

●軟骨への白血球の攻撃を阻止

どういうことかというと、変性膝関節症に悩む人の膝関節では、磨り減った軟骨の破片によって関節内の組織が傷つけられ、 絶えず炎症が起こっています。この炎症のせいで、膝に痛みや腫れが生じたり、水がたまったりするわけです。 このとき、関節内で炎症を起こしているのは、免疫の主役を担う白血球です。 白血球は、磨り減った軟骨の破片を異物と見なして、軟骨を標的とした攻撃(免疫反応)を開始します。 これが炎症の正体であり、膝痛の本当の姿だといえます。 軟骨は構成要素の大半がⅡ型コラーゲンなので、白血球はⅡ型コラーゲンを異物として認識し、 これを攻撃していることになります。

となれば、膝痛を改善に導く方法も明らかでしょう。磨り減った軟骨の破片が異物でなく味方であることを 白血球に認めさせればいいのです。そうすれば、白血球は攻撃を中止して軟骨の破壊を止めるはずです。 その結果、痛んだ軟骨の修復が進むというわけです。 そのための最良の方法が、変性していない天然の形(構造)をしたⅡ型コラーゲンを小腸に送り届けることです。 何故それがいいのかというと、その理由は次のようになります。


●経口免疫寛容

膝痛を根本から改善へと導く

変形性膝関節症による膝痛を改善に導くには、膝の関節で炎症を起こして軟骨を破壊している白血球の攻撃を 食い止めることが肝心です。そのための最良の方法が、変性していない天然の形(構造)をしたⅡ型コラーゲンを、 小腸に送り届けることです。その理由を説明しましょう。
免疫には、口から摂取した栄養に対して、それを攻撃して排除する白血球の働きが寛容になる、という大原則があります。 さもないと私たちの体は栄養失調に陥ってしまうからです。これを専門的には「経口免疫寛容」といいます。 この経口免疫寛容をうまく利用すれば、膝の軟骨の破壊を食い止めることができます。 変性していない天然の形をしたⅡ型コラーゲンを摂取して、これを小腸に送り届けられれば、 Ⅱ型コラーゲンに対して経口免疫寛容が発動されます。つまり、Ⅱ型コラーゲンを攻撃する白血球の働きが抑えられるのです。

するとどうなるでしょう。経口免疫寛容が発動されたという信号は全身にすばやく届き、膝の軟骨を破壊していた 白血球までもが、Ⅱ型コラーゲンを異物ではなく味方と認識するようになり、攻撃を止めるのです。 そうなれば、膝の炎症が速やかに治まり、痛みや腫れなどの症状が和らぐだけでなく、 白血球によって破壊されるいっぽうだった軟骨が自然治癒力によって修復されるようになります。 その結果、膝痛が根本から改善に導かれるわけです。