筋肉年齢と病気との関連性

筋力が強い中高年は、脳卒中や心臓病による死亡率が低いということが判明しました。 また、筋肉量が多い人ほど、高血圧や脂質異常症、膝痛にもなりにくいことが調査でわかりました。


■握力と死亡率との関係

握力が強いほど有意に死亡率が低い

日米共同研究機関・放射線影響研究所では、広島・長崎で被爆された人たちの健康追跡調査を行っています。 その一環として行われた「握力と死亡率との関係」についての調査結果が2007年3月にアメリカの医学誌 『アメリカン・ジャーナル・オブ・メディスン』に発表されました。 調査の対象となったのは、広島の放射線影響研究所で2年に1度の健康診断を受けている人のうち、 1970~72年にかけての2年間に健康診断を受けた4912人(男性1695人、女性3217人)。 この中には被爆者でない人も含まれ、測定時の年齢は35~74歳でした。 このときの健康診断では、皮膚の弾力性、眼の調節力、反射神経、握力など6項目の生理的調査が行われました。 これらの項目の中から全身の筋肉の量や強さの指標となる握力を選んで、 筋肉の量や強さが死亡率とどのような関係にあるか調査することを目的に、次のような方法で分析が行われました。

先の4912人の調査対象者を、まず男女別に分け、計測時の年齢で35~54歳、55~64歳、65~74歳の3つの年齢層に分類しました。 さらに、それぞれの年齢層で、握力の強い順に5つのグループを作ったのです。 そして、1999年までに死亡した約2500人の死因を調べたところ、事故などの外的な死因を除いた全体の死亡率と握力との関係では、 総じて握力が強いほど有意に死亡率が低いという結果が得られました。 例えば、55~64歳の男性では、平均的な握力を持つグループの死亡率を1とした場合、 握力が最も強いグループの死亡率は0.72、握力が最も弱いグループの死亡率は1.38でした。 つまり、握力の強いグループの人たちほど長寿であることがわかったのです。 さらに、この傾向に男女差や年齢差はなく、どの層においても、握力の強いグループほど死亡率は低いことが確認されました。 また、被爆者と被爆していない人の間にも、大きな差異はありませんでした。


■握力が5kg強まると、死亡率が11%低下する

放射線影響研究所はさらに、握力が強くなるごとに、死亡率がどのように変わるかという分析も併せて行いました。 その結果、握力が5kg強くなるごとに、死亡率は男性で11%、女性で13%低くなることがわかりました。 女性の方がポイントが大きかったのは、女性はもともとの握力が弱く、5kgの握力の差は男性より多きな差として 分析結果に反映されたためと考えられます。
同研究所は引き続いて、死因を癌・心臓疾患・脳卒中という三大疾患と、肺炎の4つに分けて、 握力の強さとの関連を調べたところ、癌を除く心臓疾患と脳卒中で、全体の死亡率で確認されたものと同様の傾向が示されました。 つまり、握力が強いグループほど、心臓疾患や脳卒中による死亡率が低くなったのです。 また、免疫力が低下している高齢者は、肺炎による死亡率が高くなります。 その肺炎について見ると、男性では、握力が強いグループほど、肺炎による死亡率が低くなるという結果も得られました。


■筋肉が増えると免疫力も強まる

心臓疾患や脳梗塞、肺炎などの病気別に見ても、握力が強い人ほど死亡率が低くなるという結果が出たのは、 筋肉の量や強さがたんぱく質や糖質の代謝と深く関わっているためと考えられます。 筋肉の主要な材料となるたんぱく質の代謝は筋肉量が多いほど活発になるため、筋力が強いほど、 たんぱく質を原料とする白血球や抗体の合成が円滑に行われ、免疫力のアップに役立つと考えられます。 糖質の代謝を見ても、血液中の余分な糖を取り込むのが筋肉の役目の一つなので、 当然、筋肉量が多いほど血糖を取り込んでエネルギーに換える能力が高く、その分肥満や糖尿病、動脈硬化を招きにくいわけです。


■高血圧・脂質異常症と筋肉

下肢筋率(体重に占める太ももの筋肉量)と健康との関係について調べたある調査があります。 その調査が下肢筋率に着目した理由は、次のようなものです。 足は「第二の心臓」と呼ばれる重要な部位で、太ももの筋肉には、収縮と拡張を繰り返すことによって、 血液を足から心臓へ送り返す働きがあります。したがって、太ももの筋肉が発達しているほど血流がよくなり、 血圧も安定するのです。また、太ももを含む下半身の筋肉は体全体の7割以上を占めるため、消費するエネルギー量も多く、 下肢筋率が高くて消費エネルギーが多ければ、体に余分な脂肪がたまりにくいため、脂質異常症も改善できると考えられます。

その調査ではまず、体の筋肉量を部分的に測定できる「八極型電子体重計」という装置を使って、 1236人の被験者の太ももの筋肉量を測り、下肢筋率を算出しました。 次に、1236人の下肢筋率を男女別、年齢別に分け、さらに下肢筋率の高い順に上位群・下位群の3つのグループに分類して、 それぞれの群に脂質異常症、高血圧の患者がどのくらいいるかを調べました。

その結果、中年の女性(35歳以上60歳未満・総数429人)のうち、脂質異常症の人は上位群で143人のうち27人(19%) だったのに対し、下位群では143人のうち57人(40%)もいることが判明したのです。 高血圧も上位群では143人のうち4人(0.3%)だったのに対し、下位群では14人(1%)でした。 また、高齢(60歳以上)の女性の下位群では高血圧が95人のうち26人(27%)で、上位群の約2倍に達することや、 高齢の男性の下位群では脂質異常症が35人のうち20人(57%)を占めることもわかりました。


■膝痛も筋肉量の不足が原因

太ももの筋肉の衰えと深い関係にある変形性膝関節症(膝痛)について、調べた研究があります。 その研究ではまず、20~79歳の健康な女性(341人)と、変形膝関節症を3年以内に発症した女性(256人)を対象として、 それぞれのグループを40代、50代、60代、70代に分けました。 そして八極型電子体重計で両者の下肢筋率を調べ、比較しました。

その結果、変形膝関節症を発症している60代は、健康な60代よりも下肢筋率が明らかに低下していました。 それ以外の年代では、大きな差異が見られなかったものの、女性の体重が閉経後に増えやすいことを考えれば、 60歳以降の女性でも太ももの筋肉が少ない人は、膝痛を招く危険が大きいといえるでしょう。


■最後に

以上の調査から、筋肉の量や強さを維持する運動習慣を持つことが、健康長寿の秘訣であることがわかってきました。 かといって、これまで運動を全くしてこなかった初心者が、いきなり負荷の大きい筋肉トレーニングに取り組むのも無理な話です。 そこで、まずはウォーキングなどの軽い有酸素運動から始めて運動する習慣を身に付け、 それから中高年向けの適度な負荷をかけた筋肉トレーニングのメニューに取り組むのが、筋肉の増強にはいい方法と思われます。


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