頭痛のタイプ別漢方治療①緊張型頭痛と漢方

頭痛の中でも、緊張型頭痛や片頭痛などの一次性頭痛の場合は、漢方薬によって軽減することがあります。 ただし、背後に病気があるような場合の頭痛には西洋医学的な検査や治療が優先されます。 漢方薬が有効とされるのは、主に、頭痛の予防と脳卒中後の頭痛で、頭痛の種類や「証」などにより薬を使い分けます。


■緊張型頭痛と漢方

生活習慣を改善しながら漢方薬で予防する

緊張型頭痛は、肩や首の筋肉の緊張などが原因で起こります。後頭部から首筋にかけて両側が痛み、圧迫感や締め付けられるような感じがあるのが特徴です。 痛みの程度は軽度から中等度で、寝込むほどではありませんが、長く続くことが多いため、生活の質が低下しがちです。

●薬による治療

急性期の治療には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)という、西洋薬の鎮痛薬(処方薬、市販薬あり)がよく使われます。 副作用としては、長期間にわたって使うと、胃腸や腎臓などを傷める場合があります。 また、1ヵ月に10~15日以上使うと、痛みに対して脳の感受性が過敏になり、少しの刺激でも頭痛が起こりやすくなり、 また薬を使うという悪循環に陥ることがあります。これを薬物乱用頭痛といいます。 薬物乱用頭痛を避けるため、頻繁にNSAIDsを服用したり、予防薬として毎日のように使用したりすることは避けましょう。 1ヵ月に2~3回程度の使用であれば、問題はありません。
緊張型頭痛の予防薬として使われる主な漢方薬には、柴胡桂枝湯、桂枝茯苓丸などがあります。 どちらも血行を促進する薬ですが、患者さんの状態をという独特の指針で診断し、使い分けます。 柴胡桂枝湯は、体力が中程度以下(中間証から虚証)で、ストレスが多いタイプに向いています。 桂枝茯苓丸は、体力が中程度以上(中間証から実証)で、手足が冷えるのに、のぼせて顔が赤くなるタイプに向いています。


●生活習慣の改善

緊張型頭痛は、一般に、肩こりや首筋のこり、ストレスなどが原因で起こることが多いので、例えば、「長時間同じ姿勢で作業を続けない」 「度の合わない眼鏡は使わない」などの注意が必要です。 また、ストレスの解消のためには、リラックスを心がけ、「入浴」「ストレッチング」「適度な運動」などで、 心身の緊張をときほぐすことが改善に繋がります。