頭痛のタイプ別漢方治療②片頭痛と漢方
頭痛の中でも、緊張型頭痛や片頭痛などの一次性頭痛の場合は、漢方薬によって軽減することがあります。 ただし、背後に病気があるような場合の頭痛には西洋医学的な検査や治療が優先されます。 漢方薬が有効とされるのは、主に、頭痛の予防と脳卒中後の頭痛で、頭痛の種類や「証」などにより薬を使い分けます。
■片頭痛と漢方
西洋薬の副作用がつらい場合に、漢方薬の予防治療が役立つ
片頭痛は、疲労、寝不足、音や光といった強い刺激などが影響し、脳の血管が拡張することで起こるとされています。 ズキンズキンと拍動するように痛むのが特徴で、左右どちらかが痛む場合が多くみられますが、頭全体が痛むこともあります。 痛みの程度は非常に強く、寝込んだり、吐き気などを伴うこともあります。 しかし、多くの場合、一晩寝ると軽くなります。また、片頭痛が起きる前兆として、目の前にギザギザの光(閃輝暗点)が見える場合もあります。
●薬による治療
急性期の治療には、血管を収縮させる働きのあるトリプタン製剤という西洋薬の処方薬が使われます。 市販の鎮痛薬で痛みが治まる場合は、それでもかまいませんが、効きにくい場合は医療機関を受診し、トリプタン製剤を処方してもらうのがよいでしょう。 片頭痛は痛みが非常に強く、日常生活に支障が出る場合も多いので、鎮痛薬を使う機会が多くなりがちです。 薬物乱用頭痛を防ぐためにも、予防治療を行うことが勧められます。 予防治療に使われる西洋薬には、バルプロ酸ナトリウム、アミトリプチリン、ロメリジン、プロプラノールなど多くの薬がありますが、 それぞれ副作用があるので、注意が必要です。バルプロ酸ナトリウムは、妊娠中に使うと、胎児に悪影響を及ぼすことが報告されているので、 妊娠の可能性がある女性が使う場合は特に注意が必要です。
予防薬として、漢方薬を使うケースも増えてきました。副作用がつらい場合や、妊娠中の女性などは、呉茱萸湯や当帰芍薬散、五苓散 などの漢方薬を選択することができます。呉茱萸湯は、体力があまりなく、冷え性で吐き気を伴うタイプに向いています。 当帰芍薬散は、体力があまりなく、冷え性で貧血を伴うタイプに向いています。 五苓散は、体力の”あるなし”に関わらず、口が渇いてむくみが起こるタイプに向いています。 また、最初から漢方薬を使用することもできるので、担当医に相談してください。 現在、治療を受けている医療機関で漢方薬を扱っていない場合は、調剤薬局で最寄りの漢方外来のある医療機関を尋ねたり、 日本東洋医学会のホームページを参考にしてください。