頭痛のタイプ別漢方治療
頭痛の中でも、緊張型頭痛や片頭痛などの一次性頭痛の場合は、漢方薬によって軽減することがあります。 ただし、背後に病気があるような場合の頭痛には西洋医学的な検査や治療が優先されます。 漢方薬が有効とされるのは、主に、頭痛の予防と脳卒中後の頭痛で、頭痛の種類や「証」などにより薬を使い分けます。
■頭痛の種類と治療
頭痛の基本治療は、西洋薬の使用
●頭痛の種類
頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛に大別されます。
一次性頭痛は、原因となる病気がなく、繰り返し起こる緊張型頭痛や片頭痛などの慢性頭痛を指します。
いわゆる”頭痛持ち”といわれる頭痛で、頭痛の中では最も多く起こります。
二次性頭痛とは、脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎などの病気があり、その症状として起こる頭痛です。
漢方薬は、主に一次性頭痛に対して効果を発揮します。
二次性頭痛には、命に関わる病気が隠れていることがあり、西洋医学的な検査や治療が優先されます。
ただし、二次性頭痛のうち、脳卒中の後遺症として起こる頭痛には、漢方薬の効果があるとされています。
●頭痛の治療
頭痛の治療には、一般に急性期治療と予防治療があります。 急性期治療とは、頭痛発作が起こった時に痛みを鎮めるために行う治療で、西洋薬が使われます。 予防治療とは、頭痛がない日にも薬を飲み続け、頭痛が起こる回数を減らしたり、軽く済むようにする治療です。 予防治療にも西洋薬が使われますが、副作用が起こるなど、西洋薬を使いにくい場合には、漢方薬が選択肢の一つになります。
■そのほかの頭痛と漢方
脳卒中後の頭痛などに漢方薬が使われることがある
くも膜下出血や脳梗塞などの脳卒中の後遺症で、朝起きた時の頭痛を訴える人は多くいます。
そのような場合に、釣藤散がよく使われます。釣藤散は、体力は中等度、中年以降の人で、慢性的な頭痛や朝起こる頭痛に効くとされています。
高血圧や動脈硬化に伴う頭痛、めまい、肩こりなどにもよく用いられます。
また、腎臓の働きを高め、水分代謝をよくして冷えを解消する働きがあることから、頭痛予防に役立てる意味で、
八味地黄丸や牛車腎気丸などが使われる場合もあります。
頭痛は、脳卒中や脳腫瘍などの病気が原因で起こっている場合もあるので、まず、西洋医学的な検査や診断をきちんと受けることが重要です。
そのうえで、西洋薬と漢方薬のどちらを選択するか、医師とよく相談してください。