■治療の行い方は?



●ピロリ菌の除菌に使うのはどのような薬?

除菌治療には、現在、下のような薬が用いられています。


分類名 一般名 代表的な製品名 用途
抗菌薬 ペニシリン系抗生物質 アモキシシリン アモリン、サワシリン、パセトシン 一次除菌・二次除菌
マクロライド系抗生物質 クラリスロマイシン クラリス、クラリシッド 一次除菌
抗菌薬 メトロニダソール フラゾール 二次除菌
プロトポンプ阻害薬 ランソプラゾール タケプロン 一次除菌・二次除菌
オメラプラゾール オメプラール、オメプラゾン
ラベプラゾール パリエット
エソメプラゾール ネキシウム
ヘリコバクター・ピロリ菌除菌薬 アモキシシリン、クラリスロマイシン、ランソプラゾール ランサップ 一次除菌
アモキシシリン、メトロニダゾール、ランソプラゾール ランピオン 二次除菌

細菌を殺す抗菌薬を2種類と、プロトポンプ阻害薬の、計3種類を併用します。プロトポンプ阻害薬は胃酸の分泌を抑える薬で、 抗菌薬を効きやすくします。一次除菌と、それで除菌できなかった場合の二次除菌、それぞれに使う薬と使い方が決まっていて、 それ以外は、健康保険が適用されない自費診療になります。

▼一次除菌で使う薬は?
ペニシリン系抗生物質のアモキシシリン、マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシンと、プロトポンプ阻害薬 (いずれか1種類)の3剤です。飲み間違いのないように、3剤を組み合わせて1日分を1シートににしたセット製品も用いられています。

▼薬の飲み方は?
除菌治療では、どの薬も、夕食後と朝食後の1日2回、7日間飲みます。除菌薬は中途半端な使い方をすると、 ピロリ菌を排除できないだけでなく、耐菌性を作って、次の治療も難しくしてしまいます。 治療中は、決められたようにきちんと服用することが大切です。


●除菌薬で起こる副作用は?その対処法は?

▼どんな副作用があるのか?
主な副作用は下痢や軟便、味覚障害などです。二次除菌に使うメトロニダゾールでは、吐き気が起こることがあります。 重大な副作用はまれですが、除菌治療では薬の用量が多く、同時に3剤服用するので、副作用への対応はあらかじめ 考えておく必要があります。軽い下痢程度ならあまり心配はいりませんが、1日に10回以上も下痢が起きたり、 便に血が混じったりした場合は、薬の服用をやめて医師に連絡してください。

▼対処法としては?
副作用は、大抵、薬を飲み始めて1~2日で起こることが多いので、その時期には何かあったらすぐに医師に連絡できるように しておくことが大切です。そのため、金曜日に受診した患者さんに除菌薬を処方する場合には、副作用の出やすい時期に 医療機関の休みが当たらないよう、月曜日から薬を飲み始めることをお勧めします。


●除菌治療を行うときに注意することは?

▼薬の飲み合わせ、飲食物などでは?
クラリスロマイシンは、心臓病の薬など、同じ代謝酵素を使うさまざまな薬と飲み合せの問題があり、 アモキシシリンとメトロニダゾールは、ワルファリンの作用を増強します。 服用中の薬は「お薬手帳」を示すなどして、必ずすべて医師に伝えてください。 また、除菌治療中はお酒を控えてください。特に二次除菌でメトロニダゾールを飲んでいるときは、 飲酒によって腹痛や嘔吐などを伴うひどい悪酔いを起こしやすいので、禁酒が大切です。

▼除菌薬の用い方については?
使用法は簡単ですが、飲み忘れや飲み間違いがないように注意してください。 副作用への対応も含め、除菌治療は時期を選んで行うとよいでしょう。大事な用事がある、旅行や宴会があるという時期は避け、 治療に集中しやすい1週間を選んでください。


●除菌できたかどうかはどのようにして調べるのか?

▼判定の時期は?判定法は?
除菌治療の薬を飲み終わって、4~6週間以上たってから、再度、ピロリ菌の検査をして除菌の判定をします。 症状が消えても、完全に除菌できたかどうか、判定は必ず受けてください。

▼もし除菌できていなかったら
耐性菌の増加もあり、最近では一次除菌を受けた人の3割ほどは除菌に失敗しています。 治療後の検査で感染が続いていることがわかったら、二次除菌を行います。

▼またすぐに除菌薬を飲むのか?
多量の抗生物質を飲んで、体に必要な働きをする腸内細菌もダメージを受けています。 その回復を待つ意味から、二次除菌は3~6ヵ月間開けて行います。

▼二次除菌でも失敗したら?
三次除菌も行えますが、これは健康保険適用外の特殊な治療になるので、ヘリコバクター学会の認定医など、 ピロリ感染症の専門医に相談した方がいいでしょう。


●除菌後に起こる問題、注意することもある?

▼除菌治療をすると、逆流性食道炎が起こりやすくなるというのは本当?
確かに胸焼けが増える人はいますが、それはピロリ菌に感染しているときに抑えられていた胃酸分泌が回復してくるためです。 体が慣れるとだんだん落ち着いてくるので、あまり心配はいらないと思います 症状が強いようなら抑える薬もありますから、医師に相談してください。

▼再感染することもある?
大人の場合はめったにありません。除菌しても、また感染するのではという心配は無用と思います。 ただし、ピロリ菌を除菌したらもう胃潰瘍にも癌にもならない、というものではありません。 除菌後も胃癌の早期発見は重要です。胃の健康のためには、胃粘膜を傷つける食塩の摂り過ぎや暴飲暴食、不規則な生活を慎み、 ストレスをためない生活を心がけましょう。