■質問:膵臓の腫瘍マーカーの数値が上がっています

半年に一度、血液検査を受けています。7年ほど前から、膵臓の腫瘍マーカーであるCA19-9の数値が38から160と少しずつ上がっています。 CT検査とMRI検査では異常ありませんでした。医師に超音波内視鏡検査を提案されていますが、この検査にはリスクがあると聞きました。 現在、体調に変化はありませんが、超音波内視鏡検査を受けた方がよいか迷っています。
(73歳・男性;164cm、63kg;多発性骨髄腫、間質性肺炎がある)


【答】

CA19-9は、主に膵臓・胆道系、消化器系の悪性腫瘍のマーカーとして広く用いられており、基準値は37U/mL以下です。 膵癌では80〜90%の陽性率を示します。消化器癌以外では、肺癌、卵巣癌、子宮体部癌などで陽性となります。 また、びまん性汎細気管支炎、間質性肺炎、気管支拡張症、肺結核などの良性肺疾患や、子宮内膜症、卵巣嚢腫などの良性婦人科疾患でも高値を示します。 CA19-9の値が高いだけで膵癌と診断できるものでなく、画像診断の補助という位置づけになります。
膵癌が疑われる場合、CT検査やMRI検査を行うことは必須ですが、これらの画像検査では確認できないレベルの小さな膵癌を超音波内視鏡検査では発見することが可能です。 超音波内視鏡とは、内視鏡の先端に超音波(エコー)装置が付属した内視鏡で、検査は通常の胃カメラとほぼ同様です。 体表に超音波を当てる腹部超音波検査と違い、胃や腸の中のガスや腹壁、内臓脂肪などの影響を受けずに観察できるのが特徴です。 超音波内視鏡検査では、超音波を胃壁や十二指腸に当てて、これらの壁の向こう側にある膵臓を至近距離で観察できるので、 CTやMRIでは診断できない10mm以下の小さな膵癌や、腫瘍として捉えることのできない微小膵癌によって起きる変化(膵管の狭窄・拡張)なども確認できます。

日本消化器内視鏡学会による5年間(2008〜12年)の消化器内視鏡関連の偶発症に関する第6回全国調査報告では、 上部消化管の超音波内視鏡検査の実施4万3130件中、偶発症の報告は9件(0.021%)で、具体的には出血や穿孔がみられました。 また、細径プローブを用いた超音波内視鏡検査では、実施5万1299件中、偶発症の報告は3件(0.006%)で、具体的には裂創と穿孔がみられました。 なお、どちらも死亡例の報告はありません。
CTやMRI検査で膵臓に異常はないもののCA19-9が高値の場合、10mm以下の小さな膵癌の診断に超音波内視鏡検査は有用です。 また、ご質問者には間質性肺炎がありますが、前述のように間質性肺炎がCA19-9の上昇に影響を及ぼしている可能性もあるので、 肺の精密検査も併せて受けられるのがよいと思います。

(この答えは、2019年3月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)