膵臓癌

膵臓癌』の早期に現れる自覚症状に、「腹痛や腰、背中などの痛み」があります。 癌が大きくなってくると、膵液の通り道である「膵管」が圧迫されます。 そのため、膵液の流れが滞り、その部分に炎症が起きるので、腰や背中が痛みます。

■膵臓の主な役割

『膵臓』は胃の後ろ側にあり、胃と背骨に挟まれるように位置しています。 成人では、通常、長さは約15cmで、厚さは約2〜3cm、重さが100〜200gほどの小さな臓器です。 膵臓の中には「膵管」があり、消化液の「膵液」が個々を通って十二指腸に流れていきます。 また、膵管は十二指腸に出る出口の辺り(乳頭部)で、胆のうに蓄えられた消化液の「胆汁」 の通り道である「総胆管」と合流します。

膵臓の働きは、大きく分けて2つあります。 1つは、消化液である膵液を作る働きです。膵液には、三大栄養素の炭水化物を分解する 「アミラーゼ」やたんぱく質を分解する「トリプシノーゲン」、脂肪を分解する「リパーゼ」が含まれています。 もう1つは、ホルモンをつくる働きで、血糖値を下げる「インスリン」や、 血糖値をあげる「グルカゴン」などを分泌します。


■膵臓癌とは?

『膵臓癌』は、癌の性質や位置などにより、癌の中でも特に早期発見が難しい癌で、 発見されたときにはすでに、他の臓器に転移しているケースが多く、治療も難しい癌です。 理由の1つは、癌が正常な組織に染み込むように広がり、正常な組織との境界線がはっきりしないことで、 もう1つは、膵臓が体の奥深くに位置する臓器のため、特徴的な症状がなく、 膵臓を標的とした画像検査をしなければ、発見しにくいということです。 最も癌ができやすいのは、膵臓がつくる消化液の「膵液」が流れる「膵管」で膵臓癌全体の約7割を占めます。 また、その多くが「膵頭部」に発症します。

膵臓癌は治療の難しい癌ですが、早めに検査を受け、早期に治療を始めると、治療成績が上がることがわかっています。 また、最近では医療技術も進歩し、できるだけ後遺症を減らす手術や、 痛みを和らげて日常生活を送りやすくする抗癌剤による治療などが行われるようになってきています。

膵臓癌は近年、増える傾向にあります。19955年には年間約1000人だった膵臓癌の死亡者数が2005年には 22,000人を超えました。部位別の癌死亡者数でも第5位になっています。 50〜60歳代で発症するケースが最も多いので、50歳を過ぎたら注意が必要になります。


■膵臓癌の症状

膵臓癌の症状では、「食欲がない」「体重が落ちる」といった症状が比較的よく見られます。 これらの症状は、他の病気でも起こるごく一般的な症状ですが、膵臓癌の場合は長期に渡って続く傾向があります。 また、早期に現れる症状に、「腹痛や腰、背中などの痛み」があります。 癌が大きくなってくると、膵液の通り道である「膵管」が圧迫されます。 そのため、膵液の流れが滞り、その部分に炎症が起きるので、腰や背中が痛みます。 この膵炎による痛みは、炎症が治まれば消えます。 重く、鈍い痛みが続くのが特徴で、期間は1〜2週間程度です。 さらに癌が大きくなると、癌が周囲の神経を圧迫して、慢性的な腰痛などが起きるようになります。 これは、癌自体からくる痛みです。

したがって、早期発見するためには、癌自体による腰などの痛みが慢性化する前、 つまり、初期の膵炎によって起こる、1〜2週間続く痛みに対する注意が必要になります。 ただ、腰などの痛みはさまざまな原因で起こるので、症状が続いたら、ともかく原因を突き止めておくことが大切です。 整形外科などで検査しても原因がわからない場合は、念のため消化器科などで画像検査を受けておきましょう。


●膵臓癌に特徴的な症状

数少ない特徴的な症状には、皮膚や白目の部分が黄色くなる「黄疸」と「糖尿病」があります。

黄疸が出るのには、癌の発生する位置が関係しています。膵臓癌の約2/3は十二指腸に近い 膵頭部に発生しますが、膵頭部には胆汁の通り道である「総胆管」が通っています。 膵頭部に癌ができると、「総胆管」が圧迫されて胆汁の流れが妨げられるため、 胆汁に含まれる黄色い色素が体内に増えて、黄疸が出やすくなるのです。 一方、総胆管から離れている「膵体部」や「膵尾部」に癌が発生した場合は、黄疸は現れません。

また、膵臓は血糖を下げるホルモンである「インスリン」を分泌しているので、 癌が発生すると、その分泌に影響が及ぶことがあります。その結果、血糖のコントロールが急に悪くなり、 糖尿病を発症したり、糖尿病が悪化したりします。 実際、糖尿病の発症がきっかけで、膵臓癌が見つかることがしばしばあります。 膵臓癌は、2cm以下で見つけることができれば、それより大きい場合に比べて、治療成績が向上します。 できるだけ早く検査を受けることが大切です。


■膵臓癌の検査


■その他

●膵管以外の場所にできる癌

膵臓癌の多くは、膵液の分泌(外分泌)にかかわる膵管の細胞が癌化した「膵管癌」です。 数は少ないながら、ホルモン分泌にかかわる細胞が癌化する「膵内分泌腫瘍」もあります。 例えば、「インスリン」を分泌する細胞が癌化した「インスリノーマ」、 胃酸の分泌を促す「ガストリン」を分泌する細胞が癌化した「ガストリノーマ」などが挙げられます。 膵内分泌腫瘍は膵管癌よりも進行が遅く、発見したときに手術で取り切ることができれば、多くは治癒します。 転移や再発が起こった場合でも、進行は緩やかなことがわかっています。

●膵臓癌の早期発見のために

統計的に、膵臓癌になりやすいのは「喫煙者、糖尿病の人、血縁者に膵臓癌の多い人」で、 50〜60歳代の人に多いとわかっています。軽い腹痛、吐き気など、ちょっとした症状でも、 しばらく続く場合は、専門医を受診しましょう。
また、血糖値に問題がないのに、突然糖尿病になったり、糖尿病の人で、特に理由がないのに 血糖値がコントロールでなくなったなど、糖尿病に関係する急な変化が見られたときも、 早めに膵臓癌の検査を受けてください。 膵臓癌は、発見が早いほど治療効果があります。特に、膵臓癌の危険因子を複数持っている場合は、 定期的に検査を受けて早期発見に努めることが大切です。