(急性)腸炎

小腸や大腸が炎症を起こし、腹痛や下痢、嘔吐などが起こります。 細菌やウイルスが感染して起こる感染性腸炎と、感染によらず薬物などによって起こる非感染性腸炎があります。


■感染性腸炎

●症状と特徴

小腸や大腸がウィルスや細菌に感染し、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱、時に血便などが見られます。

●原因

夏季には細菌性の腸炎が、冬季にはウィルス性の腸炎が多くなります。 原因となる細菌には、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌などがあります。 サルモネラ菌は、食肉、生卵、乳製品、ペットなどを介して感染することが多く、6~48時間の潜伏期間を経て発症します。 腸炎ビブリオは、生の魚介類を介して、10~30時間の潜伏期間を経て発症します。 ブドウ球菌はさまざまな食品を経て、カンピロバクターは主に鶏肉を介して、それぞれ1~5時間、2~8日を経て発症します。 大腸菌の一種であるO-157は、3~8日を経て、下痢を繰り返したり、風邪のような症状が現れたりします。 ウィルス性の原因ウィルスはエンテロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスなど多数あります。 最も多いのは2歳以下の子供によくみられるロタウイルスです。

●治療

軽症の場合は、スポーツドリンクを飲み、安静にしているだけで治ります。 腹痛が激しいときは、鎮痙薬を、嘔吐には嘔吐薬が用いられますが、下痢を止めることは体内の毒素の排出を妨げることにもなるため、最低限に抑えられます。 症状が強い場合は絶食し、軽症の場合は消化のよいものを食べます。


■非感染性腸炎

●症状と特徴

アレルギー性腸炎、薬剤性腸炎、虚血性腸炎があります。
アレルギー性腸炎は、特定の食品がアレルゲンとなり、下痢や嘔吐、腹痛、 蕁麻疹、喘息、血圧低下などを起こします。 食事の直後に症状が現れるものと、2~3日経って発症するものがあります。 薬剤性腸炎は、抗菌薬などの薬剤によって腸に潰瘍ができたり、アレルギー反応を起こして、下痢や下血を起こします。 虚血性腸炎は、突然の腹痛、左側の下腹部痛や血の混じった下痢が見られます。

●原因

アレルギー性腸炎の原因として多いのは、卵、牛乳、小麦粉、そばなどです。 薬剤性腸炎を引き起こすのは、非ステロイド系抗炎症薬や抗菌薬です。 虚血性腸炎は、動脈硬化症高血圧症糖尿病、 脳血管障害、心疾患、便秘などを持つ人に多く発症しますが、 原因が明らかでないこともあります。

●治療

アレルギー性腸炎が起こったときは、ステロイド薬などで救急治療が必要なことがあります。 薬剤性腸炎は、鎮痙薬や輸液を用います。 虚血性腸炎は、安静、絶食、輸液を行います。