急性胃炎

急激に症状が現れる


■症状と特徴

胃の粘膜に炎症ができたことによる、急激な胃や上腹部(みぞおち)の痛み、不快感、吐き気、嘔吐、食欲低下などの自覚症状があります。 発熱や吐血、下血(便と一緒に黒色の血液を排出、あるいはタール状の便が出ること)がみられることもあります。 症状が軽い場合は、食事に気を付けて安静にしていれば、2、3日経つと通常は治ります。 急性胃炎で内視鏡検査をすると、食道、胃、十二指腸にわたってびらん(粘膜表面の細胞が剥がれ落ちた状態)や出血、 潰瘍(粘膜下組織に欠損がある状態)がみられるときがあり、これを急性胃粘膜病変(AGML)といいます。


■原因

急性胃炎の原因は次のように多岐にわたります。
①精神的ストレス
②身体的ストレス(手術、外傷、熱傷、睡眠不足、疲労など)
③暴飲暴食、刺激物(香辛料、アルコール、コーヒー、お茶など)の摂取、喫煙
④薬剤(解熱鎮痛剤、ステロイド薬、抗菌薬、農薬、洗剤など)
⑤感染症(インフルエンザ・ウィルス、食中毒、寄生虫の感染)
⑤検査や治療によるもの(放射線治療、抗癌剤治療、冠動脈塞栓術など)

これらの原因が一つの場合もあれば、複合的な場合もあります。 精神的ストレスが急性胃炎を起こさせるのは、脳にストレスの刺激が伝わると、胃の分泌物が増えるのに胃粘膜の血流は低下するため、 胃粘膜の保護作用が衰え、胃が荒れてしまうからです。


■治療

原因を明らかにし、その原因を取り除きます。 激しい嘔吐や腹痛があるとき、病状が長く続く場合は、速やかに受診してください。 全く別の病気である可能性もあります。
軽症の場合は、水分や流動物の摂取とし、胃を休ませ、体を安静にしていることによって多くの場合は改善します。 このときも、スポーツドリンクや水などによって水分補給を欠かさないように気を付けます。 無理に水分を摂ってはいけませんが、脱水症状を起こすと、全身症状が悪化することがあります。 吐き気や腹痛が落ち着いたら、果肉のないゼリー状飲料やうどん、おかゆなどを食べ、徐々に普通食に戻していきます。 出血があるとき、食事が摂れないときは入院治療を行うこともあります。 薬物による治療としては、胃酸の影響を抑えるためにH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制薬、 胃粘膜防御因子増強薬などを単独で、あるいは組み合わせて使用します。 不安感が強いときには、抗不安薬を用いることがあります。 出血がある場合は、内視鏡的止血を行うこともあります。