【質問】夜間に口が乾いて困っています

1年以上前から、夜間に頻尿口の渇きがあります。 一晩に3~4回、トイレに起きるたびに、口に水を含んで口の渇きを和らげています。 耳鼻咽喉科で処方されたノベルシンとサラジェンを服用したり、うがいをしたりしていますが、効き目がありません。
●86歳・男性


【答】

「口が乾いて夜中に目が覚める」「朝起きると口が乾いて不快だ」という訴えは少なくありません。 喉の渇きを伴うことや、口の渇きを伴うこともあります。 昼間は何ともないのに夜だけ口が乾くという状態は、「夜間口腔乾燥症」といいます。 口が乾燥する原因は、「唾液の分泌量が少ない」か「唾液の蒸発が多い」かのどちらかです。 唾液の分泌量が少なくなる原因としては、「シェーグレン症候群」「放射線による唾液腺の破壊」「薬の副作用」「ストレス」「咀嚼の衰え」などがあります。 これらが原因の場合は、夜だけではなく、昼間も口が乾きます。 一方、唾液の分泌は正常でも唾液の蒸発が多ければ口は乾燥します。 唾液の蒸発は口が開いた状態が長く続くと増え、特に口呼吸で起こりやすくなります。 夜間口腔乾燥症は、就寝中に口が開いた状態が長時間続くことで生じます。 主な原因は、鼻の病気、噛みしめ、歯ぎしりなどです。 また、仰向けになったときに舌や軟口蓋が緩んで喉が狭くなり、鼻から空気が通りにくくなると口呼吸になるので、口が乾く原因になります。 これは、イビキとも関連があります。

ご質問者は、サラジェン(唾液分泌を促す薬)の効き目がないようなので、唾液は出ているが、それよりも唾液の蒸発のほうが多い状態だと考えられます。 夜間口腔乾燥症への対処は、「保湿装置」「保湿ジェル」「水を湿らせたマスク」などで行います。 保湿装置は歯に装着する装置で、噛みしめ、歯ぎしり、イビキなどの改善に効果があると考えられます。 保湿ジェルは市販の口腔ケア用品で、寝る前に口の中に塗ります。保湿装置との併用も効果的です。 歯がない方では、就寝中に顎の位置が安定しないために開口状態になることがあります。 就寝時に義歯を装着して、症状が改善するかどうかをみるのも1つの方法です。 また、「仰向けで寝ると口が乾くのに、横向きになると乾かない」という方も少なくありません。 いろいろ試してください。

(この答えは、2020年8月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)