【質問】

周産期心筋症があり、1年前から治療しています。少しずつ良くなっていますが、まだ心不全の状態で、将来のことが心配です。
●34歳・女性


【答】

「周産期心筋症」と診断されたということは、心不全の症状がすでに表れていることになります。 妊娠や出産で心身共に負担が大きい時期に、全く予期していなかった病気と診断されて、さぞショックが大きかったことと思います。 治療法や日常生活で注意すべきことは、一般的な心不全の場合と同じです。 前向きな治療を続けてほしいと思います。

<<周産期心筋症とは?>>

もともと心臓病のなかった女性が、妊娠・出産に伴って心臓の働きが低下し、心不全を発症する病気です。 「心筋症」の1つに分類されています。分娩の1か月前から5ヵ月後までの期間に新たに心不全の症状が現れた場合に、「周産期心筋症」と診断されます。 心不全の原因となるほかの病気はなく、心臓超音波検査を行うと、心臓の機能低下が確認できます。 比較的稀な病気で、日本では、およそ2万例の妊娠・出産に対して1例ほどの割合でこの病気が起こっていると報告されています。 原因はよくわかっていませんが、ウィルス、免疫の働き、ホルモンの影響が考えられています。 妊娠中、胎児が育つときに必要な酸素や栄養を届けるために、母親の体内の血液量や心拍数が増加したり、血圧が上昇するため、 これらが心筋の働きを低下させ、心不全を起こしている可能性もあります。

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)