関節リウマチの日常生活の工夫

日常生活への影響、毎日行う動作でも不便が生じる

薬や手術の進歩で、関節リウマチの患者さんのQOL(生活の質)は向上しています。 しかし、関節リウマチは、長く付き合っていく病気です。 病歴が長い人や、治療の開始が遅れた人の中には、生活に支障を来している人も少なくありません。 病気のないときと変わらない生活を維持するためには、体調管理をしながら、リハビリや日常生活の工夫を続けることが大切です。 健やかに過ごすため、関節リウマチの適切な治療を続けながら、体調管理やリハビリ日常生活の工夫を行いましょう。


■リハビリでは、関節の保護と体を動かすことの両方が大切

関節リウマチのリハビリの目的は、関節の動きを取り戻し、よい状態を維持することです。 そのためには、関節を保護することと体を動かすことの両方を考えていく必要があります。 患者さんへの調査から、適切なリハビリを行った場合、体を動かせるようになっただけでなく、血液中の炎症反応を示すCRPの数値も改善したことがわかりました。 このことから、リハビリを続けることが、関節リウマチそのものに対してもよい影響を与えることがわかります。

●関節を保護する

関節への過度な負担は、関節の変形を進行させます。まったく体を動かさないのは問題ですが、日頃の姿勢や動作を見直し、 関節に無意識のうちにかけている負担を軽くしましょう。

●体を動かす

特別な運動をしなくても、歩いたり、家事をすることも立派な全身運動です。 まずは、散歩をしたり、買い物や通勤のときに歩くようにしてみましょう。 また、少し痛みがあっても、1日に1度は全身の関節を大きく曲げ伸ばしてください。 関節が固まり、可動域が狭くなるのを防ぐためです。

●自助具はあくまで補助的に使う

衣類の着脱や物を取るための棒状の道具や瓶のふたを開けるオープナーなどの自道具は、痛みが強いときなどに補助的に使うのがよいでしょう。 頼りすぎると筋力を弱めたり、関節の可動域を狭めます。


■感染症と合併症は重症化すると命に関わることがあるので要注意

抗リウマチ薬や生物学的製剤は、免疫の働きを低下させることで関節リウマチの進行を抑える働きのある薬です。 そのため、風邪やインフルエンザなどの感染症への対策を常に行いましょう。 自分でできる対策には、うがい、手洗い、外出時のマスク着用、感染症の予防接種を受ける、疲れを溜めないようにする、などがあります。 また、合併症にも注意が必要です。主な合併症には、呼吸器疾患(間質性肺炎など)、骨粗鬆症、シェーグレン症候群、糖尿病、 心筋梗塞、脳血管障害、リンパ腫などです。呼吸器疾患は、重症化すると命に関わることがあります。 「空咳が続く」「痰が増えた」「息苦しい」などの症状があるときは、すぐに主治医に相談し、呼吸器科を受診しましょう。 合併症があると狭まるなどで十分な治療ができないことがあるため、合併症の予防とその早期発見、治療が大切です。


■体調や生活習慣に気を付けて、関節リウマチと付き合っていく

関節リウマチの症状を抑えて、感染症や合併症を防ぐためには、日々の体調管理生活習慣の改善が大切です。 生活習慣では、健康的な食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。 適正体重を維持したり、禁煙することも必要です。

●病気と共に”豊か”に暮らす

関節リウマチを「完治」させる方法は、現在のところ見つかっていません。 ですから、まず「一生付き合っていく病気」ということを受け入れたうえで、治療に向き合うことが大切です。 現在は、薬が改良されて病気の進行や症状を抑えられるようになってきました。 また、手術によって大きく改善することも期待できます。 それによって、病気がないときと同じような生活を目指すことが可能になってきています。 できることに目を向け、前向きに生活しましょう。