関節リウマチの治療
『関節リウマチの治療』は、主に薬物療法を中心に行われ、 以前の痛みや腫れを一時的に和らげるものから、免疫の異常を抑えて関節の破壊を防ぐものに変わってきています。 最近では、新しい薬が使われるようになって選択肢が増え、薬の併用によって、関節が修復される場合もあることがわかってきました。 「寛解」が長年続き、薬物療法を終了するケースも増えてきています。
■治療法
薬物療法を中心に手術やリハビリを行う
「関節リウマチ」の治療には、「薬物療法」「基本療法」「リハビリテーション療法」「手術療法」などがあります。
治療の中心となるのは、関節の炎症を抑え、破壊を食い止めるための「薬物療法」です。
併せて、関節を保護して、可動域を維持するための「リハビリテーション」も行います。
関節の破壊が進んで日常の生活動作に不自由が生じたり、変形が大きくなったりしたときには、
関節の機能回復を目的に、「手術」が行われることもあります。
基本療法は、症状悪化の防止のために、患者自身が日常生活の中で注意することです。
例えば、、「安静にする時間を作る」「冷えに注意する」「喫煙を控える」などの点を心がけるとよいでしょう。
関節リウマチがあると運動を避けがちですが、炎症が落ち着いたら、リハビリテーション療法で筋力や関節の動かせる範囲を維持することが大切です。
手術療法は、これらの効果がない場合に行われます。増殖した滑膜を切除する手術や、破壊された関節を人工関節に置き換える手術があります。
- ▼薬物療法
- 薬により、関節の炎症を抑え、関節破壊を止める治療です。 飲み薬は病状によって異なりますが、なるべく早期から、関節破壊の抑制効果のある抗リウマチ薬使用が推奨されています。
- ▼手術療法
- 関節が破壊され、日常生活が不自由になった時などに、変形した関節を修復したり、人工関節に置き換えたりすることが あります。 薬やリハビリを続けていても日常生活に支障が多く出るようになった時は、手術も考えたほうがいいでしょう。 ただし、手術を受けるには、よくなりたいという湯良い意欲を持つことが大切です。
- ▼リハビリ療法
- 炎症が治まったら、少しずつ運動を行い、骨や筋肉の働きを低下させないようにします。 関節リウマチは痛みのため、関節が動かしにくくなります。 周囲の筋肉を低下させないためには、リハビリが必要です。
■治療効果
進行の程度によって、3段階の寛解が目指せる
病気が起きても、薬などの治療により、症状がほぼなくなった状態を「寛解」と呼びます。
関節リウマチの場合、以前は痛みを止める「対症療法」が中心でしたが、
現在では、薬が著しく進歩し、炎症を止めて、寛解を目指した治療が行えるようになっています。
関節リウマチには3つの段階の寛解があります。
- ▼臨床的寛解
- 医師が診察した時、関節の腫れや痛みが見られない状態です。治療ではまずこの段階を目指します。
- ▼構造的寛解
- 画像検査などで、関節破壊の進行が止まり、それ以上、関節破壊が進まない状態です。
- ▼機能的寛解
- 日常生活に支障がない状態です。臨床的寛解と構造的寛解を実現し、最終的に目指す段階です。
関節リウマチは、治療を早く行うほどその効果が期待できます。 骨びらんが多数できて、関節の変形が見られるようになると、日常的な動作が不自由になり、機能的寛解を目指すのが困難になります。 発症してから2~3年くらいまでの間(骨びらんが増える前)に炎症を止めれば、臨床的寛解、構造的寛解、機能的寛解の全てが目指せます。 しかし、発症してから長期間が過ぎ、骨びらんが多数できた状態からでも、臨床的寛解や構造的寛解を目指すことができます。 関節リウマチになるきっかけや、症状に思い当たる場合は、一日も早く医療機関を受診し、できるだけ機能的寛解を目指してください。
■関節リウマチの薬物療法
関節リウマチの治療の中心は「薬物療法」で、
現在、その中心に位置づけられているのが、炎症の根本を改善する「抗リウマチ薬」です。
以前は、関節リウマチの薬物治療は、病気を根本的に治すものではなく、
「痛み」や「腫れ」などの症状を抑えることが治療の目標とされ、
「非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDs)」や「ステロイド薬」が中心的な薬でした。
しかし、これらの薬では痛みなどは治まっても炎症のもとは止まらないため、関節破壊が進んでしまいます。
その後、関節リウマチの原因である免疫の異常を抑える「抗リウマチ薬」が登場したことで、
関節リウマチの薬物治療は飛躍的に進歩しました。
10年ほど前からは、早期から抗リウマチ薬を使って、炎症をしっかり抑え込む治療が最も重要だと
考えられるようになりました。現在はこの薬が治療の中心となり、より効果的な使い方がされるようになっています。
抗リウマチ薬には、近年、効果の高い薬が登場し、2003年には「サイトカイン阻害薬」も使えるようになりました。
これらにより、リウマチの治療では、関節の痛みや腫れもなく、関節破壊も進まないという「寛解」
に近い状態にまで回復する患者が増えています。
関節リウマチは、発症したら一生付き合うことになる”治らない病気”とされてきましたが、
薬物治療の進歩によって、”治る病気”へと変わってきているのです。
■関節リウマチのリハビリ
関節が変形した後のリハビリは配慮が必要
関節リウマチのリハビリは自分の体の状態に合わせて行ってください。 炎症の腫れがひどいときは避けたほうがいいです。 いつもやらないような運動をすると、炎症が悪化して、関節の腫れがひどくなったり、水が溜まったりすることがあります。 ただし炎症が無くなって活動性がコントロールされたら、積極的にリハビリに取り組みましょう。 リハビリによって、関節の周りの筋力と関節の動きが広がります。リハビリは施設だけでやるのではなく、 医師からやり方を教わり、自宅でも行いましょう。自分のライフスタイルに合わせて、自宅でやった方が効果が上がります。 ただ、関節の変形した後のリハビリは、配慮が必要です。外から関節を守る必要があるので、負荷をかけないリハビリを 行ってください。また、患者さんは自分では関節が変形したものかひどく腫れたものかわからないので、 リハビリを自宅で始める前に必ず医師に診てもらってください。血液検査、MRI、超音波検査などで原因がわかります。
■その他
●日常生活で気をつけること
- ▼安静にする時間をつくる
- 炎症が落ち着いているときに関節に負担をかけすぎると、再び炎症が起こりやすくなる。 1日の中で安静にする時間をつくる。
- ▼冷えに注意する
- 冷えると痛みが起こりやすく、関節を動かしにくくなる。朝や晩に気温が下がりやすい季節は、 上着や手袋などで保温して、冷えに気をつける。
- ▼喫煙を控える
- 喫煙は関節リウマチの発症リスクを高めるだけでなく、炎症を悪化させる要因にもなるため、控える。
●家庭でできる温熱療法
薬を使っていても、関節に腫れや痛みが起こることがあります。そのような場合は、入浴などで全身を温めると 痛みが和らぎます。ただし、熱すぎるお湯や長湯は避けてください。体の一部だけを温める「部分浴」をしたり 「温湿布」や温めたタオルなどを使うのもよいでしょう。カイロを使う場合は低温やけどに注意してください。 また、炎症が起こっていて関節が熱を持っている場合は、冷やした方が効果的です。
- ▼タオルで温める方法
- タオルをお湯などで人肌くらいに温め、ポリ袋で包み患部に当て、タオルがさめたら温め直します。 1日に朝と晩の2回、1回10~15分間行います。 膝関節を温める場合、膝の下に乾いたタオルを丸めて入れ、膝を少し曲げるとよいでしょう。